当初京都や小倉に投下される予定だった原爆が広島と長崎に投下されたのは、ある「偶然」のせいだったという信じがたい事実

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八坂の塔と京都の町並み
京都の街に原爆が投下されなかった理由は、あるアメリカ人夫婦がかつてたまたまそこで休暇を過ごしたことがあったからだと知ると、偶然のもつ力に圧倒されます(写真:まちゃー/PIXTA)
あなたの人生は偶然がすべて。この世界は成り行きの産物であり、ありとあらゆる物事を、偶然が支配している。成功や失敗も、進化も歴史も、小さな偶然の積み重ねに左右されている。なのに、なぜ私たちはそこに理由や目的、秩序があると信じてしまうのか? このような世界を生きることに、どんな意味があるのだろうか?
私たちは何もコントロールしていないが、あらゆることに影響を与えていることに気づかされ、静かな感動を呼ぶ書、『「偶然」はどのようにあなたをつくるのか:すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。

あるアメリカ人夫婦の休暇旅行

「偶然」はどのようにあなたをつくるのか: すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味
『「偶然」はどのようにあなたをつくるのか』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

もし人生を最初まで巻き戻し、再生ボタンを押したら、すべてが同じ展開になるだろうか?

1926年10月30日、H・L・スティムソン夫妻は京都駅で汽車を降り、近くの都(みやこ)ホテルにチェックインし、56号室に入った。

ひと休みしてから、かつての帝都を散策し、町を染め尽くす秋の彩りを満喫した。モミジは深紅色に変わり、イチョウは瑞々(みずみず)しい緑のコケの上にすっくと幹を伸ばし、黄金色の葉に包まれている。

2人は、この古都を取り巻く泥岩の山々の懐に抱かれた、あちこちの簡素な庭園を訪ねた。由緒ある寺の数々に感じ入った。柱や梁(はり)の1本1本までもが、かつての将軍たちの時代の姿をとどめる豊かな遺産だ。

6日後、夫妻は荷物をまとめて支払いを済ませ、去っていった。

だが、これはありふれた旅人の訪問に終わらなかった。都ホテルの宿帳に記されたスティムソンの名はやがて歴史記録に変わり、一連の出来事を象徴する遺物となる。

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