あるアメリカ人夫婦の休暇旅行
もし人生を最初まで巻き戻し、再生ボタンを押したら、すべてが同じ展開になるだろうか?
1926年10月30日、H・L・スティムソン夫妻は京都駅で汽車を降り、近くの都(みやこ)ホテルにチェックインし、56号室に入った。
ひと休みしてから、かつての帝都を散策し、町を染め尽くす秋の彩りを満喫した。モミジは深紅色に変わり、イチョウは瑞々(みずみず)しい緑のコケの上にすっくと幹を伸ばし、黄金色の葉に包まれている。
2人は、この古都を取り巻く泥岩の山々の懐に抱かれた、あちこちの簡素な庭園を訪ねた。由緒ある寺の数々に感じ入った。柱や梁(はり)の1本1本までもが、かつての将軍たちの時代の姿をとどめる豊かな遺産だ。
6日後、夫妻は荷物をまとめて支払いを済ませ、去っていった。
だが、これはありふれた旅人の訪問に終わらなかった。都ホテルの宿帳に記されたスティムソンの名はやがて歴史記録に変わり、一連の出来事を象徴する遺物となる。



















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