これは、結局のところ、戦場で雌雄を決するということにほかならず、戦闘は行きつくところまで行きつかざるをえないということを示唆している。残念ながら、ロシアとウクライナの二国間では政治的解決の可能性は極めて低いと言わざるをえない。
そこで、期待されるのが第三国による仲介である。当初から仲介に向けて動いていたトルコの努力は実っておらず、フランスやドイツにはその力はなく、役不足である。ロシアはもちろん、ウクライナでさえ仲介の働きかけに応えることはないだろう。仲介者は十分に強力でなければならない。
停戦のカギを握るのは結局アメリカ
そこでやはりアメリカにその役割を期待してしまうのである。アメリカがいなければウクライナはそもそも戦争を継続できないし、ロシアはもともとアメリカとの間で安全保障条約を協議することを求めていた。仮にアメリカが動けば、停戦の機運は高まるだろう。ただ、それが失敗すればもう後がないため、十分慎重に進めていく必要がある。
バイデン大統領のキーウ電撃訪問は、ウクライナに対する変わらぬ支援を表明するにとどまったが、舞台裏ではどのような話し合いが行われたのか。大攻勢の結果も見通せない現在、停戦交渉を進めるには時期尚早ではあるが、わざわざ自ら出向いて話すほどの内容とは何か、気になるところである。大攻勢後を見据えた話題にも触れられた可能性はあるだろう。
この戦争の意義は何だろうか。バイデン大統領は、ワルシャワで「侵攻によって試されたのはウクライナだけでなく、世界そのものだ。民主主義は弱くなるどころかより強くなった。専制主義こそが弱体化した」と述べている。
この戦争は民主主義のために戦われていると言っており、第1次世界大戦時のウィルソン大統領の言葉を彷彿させる。ウィルソン大統領は、世界を民主主義にとって安全なものにするという目標を掲げて参戦したのであった。だが、全面勝利を追求した結果、戦争は長引き、ヨーロッパの均衡は破壊されてしまった。
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