「ウクライナ侵攻」ロシア側のまったく違う見え方 欧米の論理だけで突き進む先に見える悲劇

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また、ロシアは勝てないと言うとき、それは必ずしもロシアが敗北するということも意味しない。これも同じことで、核戦力を保有する国家を「負かす」ということは、ロシア自身が負けることを望まない限りは不可能なのである。

そのうえで改めて考えると、ウクライナの勝利とは領土の奪還であり、ロシアの敗北とはウクライナ領外への撤退である。ロシアの勝利とはウクライナにドンバスやヘルソン、ザポロジエのロシア併合を認めさせ、NATO加盟を諦めさせることである。

この場合、ロシアが勝てないということは、ロシアがこれらの地域の併合を認めさせることができず、NATO加盟を諦めさせることもできないということであるが、負けないということは、併合した領土を奪還されることも、領外へ撤退することもないということになるだろう。つまり、現状からの大きな変化はないということだ。

「政治的解決」という落とし所

そうすると、現時点で可能性のある解決方法は、機を見て軍事的な停戦協定を締結し、その他の問題は今後の政治的解決に求めるということにならざるをえない。

ただし、これは実は2014年以降の停戦合意であるミンスク合意と同じやり方である。ミンスク合意は完全に失敗に終わって、ウクライナ侵攻を招いてしまった。したがって、同じ停戦合意でも、より実効性のある形での条件作りが求められるだろう。

ここでいう条件作りというのは、どちらかが交渉の場で支配的立場に立つということである。すなわち、ウクライナにとっては領土の軍事的奪還、場合によってはプーチン政権の崩壊による和平である。ロシアにとっては、ドンバス地方の完全な占領と、場合によってはキエフの占領、あるいはゼレンスキー政権の崩壊と親露政権の擁立である。

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