実際、各候補者のもとには一般投資家を名乗る人物から、文書が届いている。候補者の個人的な問題を理由にフジテックへの関わりをやめるように求める内容だ。手紙の出元などは定かではないが、場外でもバトルが繰り広げられ、提案の修正に至ったというわけだ。
もちろん、最終的に提案された候補についても議論の余地がある。フジテックの岡田隆夫社長は「6人の候補者には社外取締役経験者が1人もいない。面談もしたが、当社の事業について理解している人は1人もいなかった」と語る。
海外のエレベーター事業経験者もいるが、日本での経験はない。「日本市場で活動している欧米系のメーカーは1社で、その活動も限定的」(岡田社長)ということもあり、海外の経験を日本で生かせるかどうか疑問が残る。
双方に弱みのある状況
フジテックは招集通知書で、候補者の過去の経歴にも疑問を投げかけている。例えば、浅見明彦氏に関して古巣のバークレイズ証券との訴訟で指摘された行動を問題視、コーポレートガバナンスへの貢献は期待できないとしている。法務のスキルを持っているとした候補者についても、日本の弁護士資格を持っていないことから、現任の社外取締役のほうが適任だとしている。
一方、オアシスのセス氏はこうした会社側の指摘を「本来の問題であるガバナンスの問題から目を逸らそうとしている」と批判。「浅見氏の訴訟も浅見氏に有利な形で展開した」との認識を示した。弁護士資格などの点についても、「社外取締役の役割はガバナンスに対する監視。法的なアドバイスをする立場ではない。ガバナンスにおける社外取締役の役目を理解していない」と主張している。
双方に弱みがあり、泥仕合とも言えるような状況の中、勝敗はまったく読めない。実際、機関投資家などの議決権行使のカギを握る議決権行使助言会社のスタンスも割れている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら