フジテック元会長「会社はオアシスの言いなりだ」 株主提案の意図から疑惑の真偽まで直撃取材

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フジテック元会長の内山氏
フジテック元会長の内山氏は会社の現状を憂う一方で、昨年の定時株主総会直前に起こした騒動については謝罪の言葉を口にした(編集部撮影)
香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントがガバナンス上の問題を指摘したことを機に、エレベーター機器大手・フジテックの会長を解任された創業家の内山高一氏。内山氏は6月に開催されるフジテックの定時株主総会に向け、社外取締役8人を推薦する株主提案を行っている。株主提案の意図や現在の心境を内山氏に聞いた。

 

──3月28日の取締役会の決定で会長職を解任されました。今の気持ちを率直にお聞かせください。

現在のフジテックの状況を心配している。本来、取締役会には独立性や透明性が必要だが、オアシスの言うとおりに行動している。だからこそ、今回株主提案をした。

フジテックに40年間お世話になって、20年間社長をして、業績も大きく上げてきた。岡田隆夫社長を含め、友達というか、社員の皆さんと「For The Team(チームのために)」で事業を展開してきた。

私が会長を解任され、岡田社長たちへの風当たりは強いはず。それは大変申し訳ないと思っている。これまでは私がシールド(盾)として立っていて、皆それぞれの領域で仕事していた。それがモロに最前線へと出なければいけなくなった。

とくに営業関係は私が全部やっていた。ゼネコンを含めて施主さんなど、東京で大きな仕事をしている人たちとは、すべて20年来の付き合いだ。例えば、森ビルさんとは六本木ヒルズの時からのお付き合いでやっている。そういう付き合いをすべて岡田社長が引き継ぐとなると、大変だろう。

フジテックの強みは「信頼」

──エレベーター業界で生き残るには、そうした”付き合い”や関係性が重要だと。

信頼関係ですよ。ビルを立てるのは2000億、3000億円の商売で、3~5年の大きなプロジェクトになる。その中の非常に大きな部分をエレベーターが占める。会社の組織、その顔があるから、顧客も信頼してくれる。

エレベーターは30~50年のメンテナンスが必要。フジテックは、据え付けたエレベーターのうち95%以上で、メンテナンスの商売もまかせてもらっている。この信頼関係がフジテックの強みだ。

性能、品質、意匠についても世界一すばらしい商品を作るというのがわれわれの第一義。お金儲けは重要だが、安心・安全で誇れる商品を納めることで信頼を勝ち取ってきた。

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