成長の「良い」と「悪い」が見えてくる
この本の第2部では、高成長を遂げた企業でありながら、低収益となった企業42社を分析した。
低収益の基準は、2000年度から2009年度までの10決算で、加重平均売上高営業利益率が5%未満、である。
年率5%の成長を半世紀にわたって維持するのは簡単ではない。その難関を見事に乗り越えてみせた110社から、なぜか低収益に甘んじるところが出ている。
彼らの成長パターンを、高収益企業群(前編の記事を参照)と比べてみると、成長の「良い」と「悪い」の区別が見えてくる。
前編の記事では、海外進攻、事業新興、国内深耕で高成長、高収益を成し遂げた企業群30を紹介した。そちらを念頭に置いて以下を読んでいただくと、違いが際立つと思われる。
前編でも述べた通り、世界市場は一般に日本市場の10倍以上の大きさを誇るため、得意とする主業を海外に延伸していけば、単一の事業で息の長い成長が続くのは道理である。
誰よりも熟知した事業を延伸するだけなら、リスクも相対的に小さい。では、ここで紹介する企業は、前編の企業群とどこが違うのか。
問題は表層の下に潜む戦略の奥の院にある。ここでは、社名を見た瞬間に有力ライバルが思い浮かぶ企業が居並んでおり、そこが前編の海外進攻企業=独走系の企業との大きな違いになっている。
エリート中のエリートが独走できたのは、戦場となる事業の立地を狭く絞ったり、辺境に飛ばしたからなのに、ここで紹介する企業は、密集地に大きく構えすぎており、それが低収益に直結したものと思われる。
ここに該当する15社の顔ぶれは以下の通りである。
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