50年間高成長だが収益は低い日本企業42社とは 収益を得る成長と犠牲にする成長の違いを知る

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
■海外進攻で高成長を遂げたが、低収益となった15社

スズキ(輸送、静岡、1920年、6.56%)

富士重工業(輸送、群馬、1953年、5.47%)

ヤマハ発動機(輸送、静岡、1955年、5.78%)

カルソニックカンセイ(輸送、東京、1938年、6.20%)

河西工業(輸送、東京、1946年、5.77%)

ミツバ(電機、群馬、1946年、6.15%)

小糸製作所(電機、東京、1936年、6.58%)

アイシン精機(輸送、愛知、1949年、7.87%)

東海理化電機製作所(輸送、愛知、1948年、7.30%)

フタバ産業(輸送、愛知、1945年、6.53%)

アルプス電気(電機、東京、1948年、6.61%)

フジテック(機械、大阪、1948年、6.48%)

サンケン電気(電機、埼玉、1946年、6.39%)

日本ケミコン(電機、東京、1947年、6.44%)

山洋電気(電機、東京、1936年、6.36%)
*1 地名は生地、年は設立年、%は50年間実質成長率を示す
*2 高成長、低収益の定義や企業分類の詳細については『企業成長の仕込み方』を参照

15ケースの顔ぶれには顕著な偏りがある。業種が実質的に自動車と電機に絞られており、この事実自体が、主体的な工夫によってではなく、強力な追い風を背中に受けて成長したことを物語る。

企業内部の努力に由来しない外生的な圧力が企業多数を押し上げる業界に陣取れば、成長は半ば約束されてしまう。しかしながら、利益となると話は違う。利益は労せずして手に入るものではない。

事業新興の落とし穴

前編の記事では、もっとも安定性が低いのは、「事業新興を主軸に据えた」成長パターンと指摘した。

その理由は「新たな事業を興し、その成長力で全社を牽引する行き方は王道のように見えるが、いつまで新興事業が成長し続けるか読み切ることは難しい」という1点に尽きる。

ここでは、このリスクが実際に露呈したケースを俎上に載せている。新興事業が出現する領域では、技術の流動性が高いことが多い。

そういう領域で独走する事業を築いたとしても、そこで蓄積した技術が陳腐化してしまっては、高収益を守ってくれる優位まで消え失せる。

次の新興事業で成長を支えたとしても、低収益化は逃れがたい。

ここに該当する14社の顔ぶれは以下の通りである。

次ページ新興事業で高成長を遂げたが、低収益となった14社
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事