フジテックvsオアシス 株主総会直前の大バトル 社外取締役提案、異例の修正4回の裏側

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ISSはオアシス側の提案に賛同しているが、グラスルイスは現取締役の解任について、3人に賛成、他の3人は反対を推奨。オアシス側が推薦した6人の社外取候補者には2人に反対、4人に賛成と賛否の分かれる推奨をしている。両者提案の候補者が入り乱れる取締役会の体制になっても不思議はない。

内山氏の処遇、社長「間違っていない」

フジテックをめぐる問題の本質は、創業家出身である内山氏による経営の支配にある。内山氏はオアシスが6月に繰り広げた再任反対キャンペーンの結果、再任を取り下げたが、現在は取締役でも執行役でもない「会長」に就いている。今回の総会も、内山氏を会長職に残す決断をした社外取締役たちの責任を問うところからスタートしている。

フジテック側はこの問題をどう考えているのか。岡田社長は「(会長とした)判断は間違っていなかった」と振り返る。

会長としたのは「事業の継続性やトップセールスへの影響を考えると、内山氏が去ることはあまりにもダメージが大きかった。事業への影響を最小限に抑えるための処置だった」(岡田社長)という。

業界の特性にも触れ、「納入から数十年にわたってメンテナンスをするエレベーター業界で、重要なのは顧客との信頼関係。経営が安定的に行われているという姿を見せて安心してもらう必要があった」(岡田社長)と説明している。

内山氏の問題は現在、第三者委員会による調査の真っ最中だ。結果が出る時期などは未定だが、「第三者委員会の報告は真摯に受け止める。今後の(内山氏の)処遇については、何も決めていることはない」としている。

株主たちはこうした状況を踏まえ、どのような判断を下すのか。審判の時は、すぐ先に迫っている。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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