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経団連が「原子力の活用」を政府に訴える理由 十倉会長「産業が滅べば脱炭素に貢献できない」

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産業界が深く関わる政府のGX政策。キーマンである経団連・十倉会長を直撃した。

インタビューを受ける経団連会長 十倉雅和氏
十倉雅和(とくら・まさかず)/経団連会長(住友化学会長)。1950年生まれ。1974年住友化学工業(現住友化学)入社。技術・経営企画室部長などを経て、2011年社長、2019年会長。2021年6月から日本経済団体連合会会長。GX実行会議の有識者メンバーも務める。(撮影:尾形文繁)

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2月13日(月)発売の『週刊東洋経済』では、「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」を特集。あらゆるエネルギー価格が高騰し続ける中、経済成長を維持しながらエネルギー安全保障と脱炭素をどう両立させるか。難しい課題に直面する日本と世界の最前線を追っている。

日本政府が昨年末に示した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が、2月10日閣議決定された。脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つの課題を同時に克服するため、再生可能エネルギーや原子力への電源転換を進め、今後10年間で150兆円の官民のGX投資を行うというものだ。
このGX基本方針には、経団連が2022年5月に掲げた多くの提言が盛り込まれている。十倉雅和会長にエネルギー移行期の産業界のあり方を聞いた。

──「年2兆円規模の政府支援」や「原子力の活用」など主要な提言がGX政策に反映されました。

週刊東洋経済 2023年2/18号[雑誌](どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素)
『『週刊東洋経済』2023年2月18日号(2月13日発売)の特集は「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」です。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

経団連会長として、最初の1年に最も力を入れたのがGXだ。政府が提言のほとんどを取り入れてくれたことは評価している。

経団連は「サステイナブルな資本主義」を目標に掲げていて、行き過ぎた資本主義の問題の1つに気候変動の問題があると認識している。

社会課題を解決するとともに産業の成長の強化・維持を成し遂げようという狙いだ。経済成長によって分配の原資を生むことができ、地球温暖化を防止できる。

GXはただクリーンエネルギーを作るだけではなく、社会そのものの変容と産業の構造転換も起こる国際競争だ。世界に劣後してはいけないし、日本はアジアの国々をリードしなければいけない。

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