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JX金属の「銅のリサイクル」は供給不足を救えるか 金属・リサイクル部長に可能性と課題を聞いた

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脱炭素の進展によって懸念される銅不足。JX金属では、リサイクル技術の高度化を進めている。

JX金属の子会社にあたるJX金属商事の九州支店。銅のリサイクルに用いるスクラップ材を集積している様子(写真:記者撮影)

特集「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」の他の記事を読む

世界で脱炭素の流れが加速する中、大量に使われることになるのが金属だ。中でも銅は、EV(電気自動車)や再生エネルギー関連に使われ、不足の懸念が高まっている(詳細は「『脱炭素』で危ぶまれる銅、ニッケル不足の打開策」参照)。
安定供給をするうえで1つの打開策となるのが、リサイクル原料の活用だ。
国内非鉄金属大手、JX金属の常務執行役員で金属・リサイクル事業部長である安田豊氏に聞いた。

銅の需要が2050年には2倍に

――脱炭素により、銅の需要は増えることが予想されます。

2020年に約2500万トンだった銅の需要は、2050年までに2倍の約5000万トンに増えるとみている。

背景にあるのが脱炭素化。たとえばEVの場合、ガソリン車のおよそ4倍の銅が必要だ。銅は電気を通しやすく、EVの心臓部にあたるモーターのコイルなどに銅素材が使われている。

また再生可能エネルギー関連でも、太陽光パネルの電極や熱収集器などには導電率や熱伝導率の高い銅が用いられており、その量は化石燃料による発電の約4倍にもなる。

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