安倍元首相の側近としてエネルギー・産業政策を指揮してきたキーマンに、日本の針路を聞いた。
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2月13日(月)発売の『週刊東洋経済』では、「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」を特集。あらゆるエネルギー価格が高騰し続ける中、経済成長を維持しながら脱炭素をどう両立させるか。そして、エネルギー安全保障をどう確保するのか。難しい課題に直面する日本と世界の最前線を追っている。
日本政府が昨年末に示した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が、2月10日閣議決定された。脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つの課題を同時に克服するため、再生可能エネルギーや原子力への電源転換を進め、今後10年間で150兆円の官民のGX投資を行うというものだ。
資源エネルギー庁次長や安倍政権の首相秘書官兼補佐官などを歴任した今井尚哉氏はGXをどう見ているのか。エネルギー・産業政策を指揮してきたキーマンに、日本の針路を聞いた。
──岸田政権が進めるGX政策をどのようにみていますか?
GX全体は否定しないが、抽象論ばかりになってしまっている。産業ごとの脱炭素化について、具体的な工程が示されていない。多くの要素技術は商業化する前に研究開発の途上で死んでいく。あれもこれもやろうとして「合成の誤謬」を起こしている。
脱炭素を進めるにはさらなる省エネの深掘りか、電化、水素化、炭素の除去・再利用しかない。150兆円を先に言うよりも、まず分野を絞って投資戦略を作るのが大事だ。
2030年度までに温室効果ガスを46%削減するという高い目標がある中で、パッチワークの政策になってしまうのは仕方ない側面もある。
実は安倍政権のときも2030年の脱炭素目標を準備したことがあるが、そのときはそうとう無理をして積み上げても26%削減が限界だった。
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