ダイキン、パナの「暖房」が救うエネルギー危機 「省エネ」ヒートポンプが欧州で爆売れ、増産も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
『どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素』特集バナー
日系企業が強みを持つヒートポンプ式暖房が、エネルギー危機に直面する欧州で売れている

ヨーロッパの家庭で今、空前のヒットとなっている日本企業の製品がある。ヒートポンプ式の暖房設備だ。

シェア約20%と首位のダイキン工業を筆頭に、パナソニックや三菱電機、富士通ゼネラルなどが製品を展開しており、「2021年度は販売台数が前年度比で7割弱伸びた」(ダイキン)。生産が追いつかず、各社がバックオーダーを抱えるほどの盛況ぶりだ。

2月13日(月)発売の『週刊東洋経済』では、「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」を特集。あらゆるエネルギー価格が高騰し続ける中、経済成長を維持しながらエネルギー安全保障と脱炭素をどう両立させるか。難しい課題に直面する日本と世界の最前線を追っている。

ヒートポンプとは、空気中にある熱を集めて圧縮機にかけ、冷媒を電気で圧縮することで室内に運ぶ技術のこと。日本では給湯器の「エコキュート」に使われる技術として知られる。

ヨーロッパでは建物全体を一元的に制御するセントラル空調が基本。現在は、ボイラーでガスや石油などの化石燃料を燃やして水を温め、各部屋に設置したラジエーターや床暖房などに温水を循環させる「燃焼暖房」が普及している。

ヒートポンプを採用する動きが加速

それがここ数年、新築戸建て住宅を中心にヒートポンプを採用する動きが加速している。

ドイツ在住のジャーナリスト、高松平藏氏は「ドイツでは20年ほど前から断熱性能などに優れた『パッシブハウス』と呼ばれる省エネ住宅が普及しており、その暖房設備としてヒートポンプ式を入れるケースが多い」と語る。

週刊東洋経済 2023年2/18号[雑誌](どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素)
『週刊東洋経済』2023年2月18日号(2月13日発売)の特集は「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」です。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

最大の特徴は、CO2(二酸化炭素)の排出量削減につながる高い省エネ性能にある。空気中にある熱を活用するため、1の電気量に対して3〜4倍の暖房効果を得ることができる。

IEA(国際エネルギー機関)によれば、そのエネルギー消費量はガスボイラーの55%ほど。ヨーロッパでは2009年に再生可能エネルギーとして認定されている。

エアコンなどで培った省エネ技術を応用し、ダイキンは2006年、パナソニックは2008年からヨーロッパでヒートポンプ式暖房を販売し始めた。

かねて環境意識が高い市民には知られていたヒートポンプだが、ネックは高い初期費用だった。温水タンクや室外機などの設置工事費を含めると、200万〜300万円ほどの出費となる。

次ページコロナ禍をきっかけに環境は一変
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事