ダイキン工業、空調シェア1位でも危機感のわけ 「ライバルの三菱電機を引き離せ」と大号令

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ダイキン工業滋賀製作所における家庭用エアコンの製造風景(2017年7月、編集部撮影)
世界最大の空調機器メーカーであるダイキン工業。多くの製造業と同じく、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて減益決算を余儀なくされている。
ただ、株式市場では3月中旬を底に株価は一本調子で上昇しており、上場来高値を更新。8月17日現在の時価総額は全上場企業の第16位、約5.7兆円にのぼる。アフターコロナで投資テーマとなる換気や空気質など安心・安全の旗手として注目されている。
今回のコロナ危機にどう立ち向かうのか。十河政則社長兼CEOに聞いた。

巣ごもり需要は想定以上

――2021年3月期の連結営業利益は前期比36%減の1700億円と予想しています。8月に5月公表の期初計画から200億円ほど上方修正しましたが、新型コロナの影響をどうみていますか。

期初と違っているのは住宅用エアコンが大きい。在宅勤務による巣ごもりが想定以上で需要が大きく伸びている。家にいる時間が長くなれば、そこの環境を良くしようと思うのだろう。

一方、業務用エアコンは企業などの設備投資が進まないため厳しい。コロナの影響は上期でほぼ収束して下期は需要が回復していくとみていたが、回復はもう少し先になりそうだ。

短期的な空調需要は全体として落ちると思う。ただ、空調はライフラインを支える非常に重要なものであり、中長期的には今後も伸びるとみている。われわれはそうした事業を持っており、やりようだと思っている。

――具体的にはどんな攻め口を考えているのでしょうか。

攻め口は、ニーズが猛烈に出てきている換気や除菌、空気質などであり、安全、健康、快適がキーワードになる。住宅用もそうだが、クリニックや幼稚園、学校、さらには飲食店などで特にニーズが大きい。こうした場所では今まではあまり換気というニーズが強くなかった。

コロナで飲食店は目の敵にされているが、換気が十分なのかが問われていると同時に、夏場は快適に室内を冷やさなければならない。両方の機能を満たせれば、安全で快適な空間ということをアピールでき、お客さんも入店しやすくなるだろう。保育園や幼稚園などでもそれは同じだ。コロナで起きた変化をチャンスとして、どう先手で攻めるかだ。

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