ダイキン工業、空調シェア1位でも危機感のわけ 「ライバルの三菱電機を引き離せ」と大号令

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――ダイキン工業は業務用エアコンの国内シェアは圧倒的ですが、危機感があるということでしょうか。

われわれの国内業務用シェアは40%ぐらいで推移しており、今年の目標は41%だ。ライバルの三菱さんは20%台なので、当社のシェアが高いのは確か。

だが、シェアが圧倒しているからと安心するようではダメだ。かつては44~45%ぐらいのシェアだった。この際、「もっとライバルを引き離せ」と号令をかけている。「40%がうちや」と言って満足するのか、「それ以外の6割はまだよそじゃないか」と思うか、この意識の違いだ。僕なんか「6割もまだよそか」と思うからね。

ただ、シェアを上げるために売価を下げるつもりはない。せっかく作ってきた国内市場を壊すのは簡単だ。値段を下げたら(市場は)すぐに壊れる。値段を下げたら50%や60%のシェアはすぐにいける。だが、儲からない市場でええのか、と。

正直に言うと、三菱さんはうちより10%ぐらい値段が低い。だからダイキンは苦戦している。だけど、苦戦しているからうちも売価下げるかっていったら絶対に下げない。値段勝負でやったら泥仕合になって誰も勝者は生まれない。そういう中でシェアを上げて勝つためには営業力と販売力、提案力が必要だ。

サプライチェーンの基本は「現地最寄り化」

――中国でもダイキンは現地企業と激しい競争をしていますが、業績は堅調です。中国メーカーとどのように戦っていきますか。

彼らは家庭用ルームエアコンのボリュームゾーンを得意としている。一方、われわれが中国で成功してきたのは高付加価値の領域だ。そういう市場を自ら中国で作ってきた。それを捨てて、いわゆる安物のボリュームゾーンで戦うのかといったら、そんな戦い方はしない。

2016年6月発表の中期経営計画「FUSION20」で説明に立つ十河政則社長(撮影:ヒラオカスタジオ)

――逆に中国メーカーが技術力をつけて、ダイキンの得意領域に入る可能性はないですか。

もちろん彼らはうちが中国で儲かって利益を上げ、成功していることを知っている。その領域にもっと入りたいというのはそのとおりだろう。技術力もアップしてきている。

ただ、そう簡単には入らせない。われわれはつねに先を行く差別化商品を出していく。

われわれが中国で強みとしているのは、(1台の室外機で2台以上の室内機と接続できる)住宅用マルチエアコンだ。それはうちが圧倒的に強い。そこは簡単に追い付けない技術力がある。

中国メーカーは全部併売店だが、われわれは専売店だ。住宅や業務用のマルチエアコンは提案力が必要になる。ルームエアコンのようにインターネットで簡単に買えて、「とにかく冷えたらいいわ」という製品ではない。

――コロナではサプライチェーンの脆弱性が多くの製造業で問題になりました。生産サイドの強化策をどのように考えていますか。

われわれの最大の強みは世界85カ所以上にある生産拠点で、顧客の近くでニーズにあった商品をタイムリーに供給していることだ。これは今後とも強化していく。基本は現地製作、現地販売、地域最寄り化だ。中国の現地調達率は100%だが、平均値はまだ7割ぐらいで、(現地調達率の引き上げは)大変でそう簡単にはいかない。

今回、サプライチェーンに大きな問題を起こさずに供給できたが、中国のサプライヤーに偏っていたことは事実だ。コストが安く、コスト競争力の関係からそうならざるをえない。ただ、BCPの視点から言えば、中国に偏りすぎているのはやはり問題がある。そのため、中国以外でもグローバルサプライヤー並みにコスト競争力を維持できる現地サプライヤーを探索して、育成していくことが必要だ。

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