ダイソンが「給料の出る」大学をつくった事情 平均年齢26歳、凄腕技術者育てる「虎の穴」

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10万円近い高価格でも売れゆき好調なダイソンのスティック型掃除機(撮影:今井康一)

「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」のキャッチコピーで知られるイギリスのダイソン。主力のサイクロン式掃除機のみならず、「羽根のない扇風機」や「穴の空いたドライヤー」から、最新の「勝手に髪が巻き付くヘアアイロン」まで、ユニークな家電製品を次々と打ち出してきた。

ダイソンが手がける製品はどれも、何年間も技術革新が起きていないような日用品だ。誰もがすでに1つは持っているものだけに、市場も成熟している。ここに、市場平均よりも何倍も高価格の製品を投入するのがダイソン流ビジネスだ。2016年に発売したドライヤーは平均価格の10倍近い約5万円。最新のスティック型掃除機「V10」は10万円近いモデルもある。

ヒットを出すのは難しい環境のはずだが、売上高は1993年の創業以来、右肩上がりで推移している。直近の2017年の売上高は対前年比4割増の35億ポンド(約5110億円)。EBITDA(償却前営業利益)は同27%増の8億100万ポンド(約1183億円)と飛躍が続いている。高価でも消費者がダイソン製品を選ぶのは、その機能やデザインに革新性を見出すからだろう。

エンジニアの平均年齢は26~27歳

では、なぜダイソンは革新的な製品を出し続けることができるのか。『週刊東洋経済』1月12日号(1月7日発売)では、ダイソンが持つ3つのコア技術からその秘密を解き明かしている(発明王ダイソン、「強さ」の秘密)。だが、秘密は他にもある。それは、開発の最前線に立つエンジニアの年齢がとにかく若いことだ。

『週刊東洋経済』1月7日発売号(1月12日号)(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

2017年末時点で4450人が在籍するエンジニアの平均年齢は26~27歳。本社があるイギリスの場合、学部新卒は21歳なので、大学院に進学しなかった場合でも社会に出て数年の新人ということになる。ちなみに、日本の電機メーカー・ソニーの社員平均年齢は42.3歳、パナソニックの場合は45.6歳だ(エンジニアのみの平均年齢はともに非公開)。

2018年10月に発売された新製品のヘアアイロン、「エアラップ」の開発を率いたのも20代後半の女性だ。「センサーで毎秒40回も温度の調節を行うため、髪が過度な熱にさらされることはありません」。日本で行われた記者発表会で、自身の髪の毛をカールさせる実演も交えた完璧なプレゼンテーションを行ったのが、アドバンスト・インサイト・エンジニアのヴェロニカ・アラニスさんだ。

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