ダイソン、「掃除機発」の技術で挑むEVの勝算 創業者ジェームズ・ダイソン氏を直撃
コア技術はモーターとバッテリー
――ダイソンのコア技術は独自のアルゴリズムによるデジタル制御を行うモーターと、バッテリーにあるかと思います。新型コードレス掃除機に搭載されたものは何が進化したのでしょうか。
新しいモーターは設計をゼロから見直し、7年かけて開発した。材料にセラミックを使うことで、強度を従来比で3倍、重さを半分にしつつ、毎分の回転数を1万5000回増の12万5000回にすることができた。今後もさらに軽量化を進めたい。
リチウムイオン電池も最新だ。これまで、電池を増やすと電圧が下がってしまうのが課題だった。そこで今回は、重量を増やさずに稼働時間を延ばすために、エネルギー密度(一定重量当たりの蓄電容量)を高めたバッテリーを開発した。
結果、(従来モデルよりも20分長い)60分の稼働時間を実現することができた。バッテリー切れに煩わされることなく、家中を掃除することができる。モーターとバッテリーの双方がうまく連携することで、革新的な掃除機になった。
――モーターの開発・製造には、過去15年間で累計3億5000万ポンド(約510億円)と巨額の投資をしています。開発した技術は、掃除機以外、たとえば現在開発中のEVにも応用できるものですか。
2016年に発売したヘアドライヤー「スーパーソニック」には、このモーターの技術が応用されている。EVにどのように応用するかは詳しく言えないが、何らかの形で研究の成果を活用する。
(家電と)EVのモーターは大きな違いがあり、自動車用途に到達できるかが課題だ。もしかしたら、従来とはまったく違う形になるかもしれない。