ダイソン、美容家電で王者パナと本気の対決 今度は「ヘアドライヤー戦争」が勃発
「我々がヘアドライヤーで付加価値の高い商売をしているのを見て、英国のメーカーもなだれこんできた」――。
パナソニックの家電部門のトップ、本間哲朗専務が敵対心をあらわにするのは、英国メーカーで家電大手、ダイソンだ。両社はこれまで掃除機や扇風機といった白物家電の分野で競合関係にあった。が、長くパナソニックの独壇場となっているヘアドライヤー市場にダイソンが参入したことで、抜き差しならない対立が深まっている。
5月11日にダイソンは、ヘアドライヤー「ダイソンスーパーソニック」を発売した。希望小売価格は何と4万5000円(税抜価格)。他社の高価格帯ヘアドライヤーが1万~2万円程度なのと比べて、倍以上の価格設定になっている。それでもダイソンは強気だ。「誰にとっても髪へのダメージが小さく、持ち続けても疲れない製品の方がいいはず。毎日使う製品であることを考慮すれば、価格が高すぎるとは言えない」(創業者のジェームズ・ダイソン氏)。
実は粗利の高いヘアドライヤー
ビックカメラ有楽町店の美容家電売場担当者は「予想通り、非常に売れている。台数ではパナソニックが1位だが、ダイソンは値段の割にかなり追い上げている」と明かす。単価の高いダイソンのヘアドライヤーは、小売店にとっても利幅が大きく、“売りたい製品”。実際、同店の美容家電売場には「ダイソン専用コーナー」が大きく設置されている。その珍しいデザインにひかれて足を止め、商品を手にとって試す客は多い。
一方、パナソニックはヘアドライヤー市場で約7割のシェアを占め、他社を圧倒している。同社が「きれいなおねえさんは好きですか」というキャッチコピーで、美容家電を本格展開し始めたのは1990年代半ばだ。以後20年間、ヘアドライヤーや脱毛器、目元エステなど、商品ラインナップを拡大、美容家電市場の成長を牽引してきた。
最近では家電量販店における売り場面積も拡大しており、インバウンド(訪日外国人観光客)需要も取り込み、成長を続けている。美容家電はテレビなどのデジタル家電に比べ、技術が摸倣されにくいため、中韓メーカーの参入が限定的になり、価格競争もゆるやかなのだ。
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