ダイソン「28万円照明」は一体何が新しいのか 「照明環境のイノベーション」に挑戦

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3月6日、メディア向け説明会で登壇したジェイク・ダイソン氏(筆者撮影)

自らを「イノベーティブ」な企業であると自認し、他人とは異なる角度と方向の発思を評価するというダイソン。2016年は高い吸引力を誇る掃除機で培ったインペラー(羽根車)とモーター、それに羽根のない扇風機で培ったノウハウを用いてヘアドライヤーという成熟市場に新たな着想を持つ商品を持ち込んだ。

そんなダイソンの中で、今ひとつパッとしなかった商品ジャンルが買収事業である照明製品だ。掃除機における「ルートサイクロンクリーナー」や扇風機における「エアマルチプライヤー」に比べるとオリジナリティこそなかったものの、製品そのものの品質はよかった。だが、ダイソンが買収する前の2014年1月、Jake Dyson Productsが日本向けにプロモーションを開始した「CSYS(シーシス)」は、メーカー側からの情報発信とユーザーニーズの間に少しばかりズレがあった。

消費者に届かない”製品の本質”

独自の発想や技術がないわけではない。“LED技術を用いて世の中を変えたい”という思いが強すぎて大衆ニーズを捕まえきれず、(ダイソンが買収後に価格を下げたものの)ハイエンド市場から入りすぎて一般ユーザーがその高い品質を体験する機会が限られていた。

しかしダイソンが近年開拓しているオフィス設備や業務用設備向けのいわゆるB2B向けに製品をリフレッシュしたことで、ダイソンの新しい事業の柱となる可能性が出てきた。越えなければならない壁もあるが、B2B向け照明設備で実績を積み上げれば家庭向け照明設備の常識を変える存在になるかもしれない。

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