ダイソン、「掃除機発」の技術で挑むEVの勝算 創業者ジェームズ・ダイソン氏を直撃

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――2017年には、英国本社の敷地内にダイソン工科大学が開校しました。企業が自らエンジニアを教育する理由とは?

ダイソンは、2020年までにエンジニアの数を2倍にしたいと考えている。だが英国は深刻なエンジニア不足に陥っており、技術開発の妨げになっている。そこで、自社で問題解決に取り組むことにした。教育機関ではあるが、学生には給与を支払い、実際の研究開発にも携わってもらう。卒業したら、大卒と同等の給与が支給される。来年度は900名の応募があり、当初の定員(25人)から50人増やすことにした。

ジェームズ・ダイソン(James Dyson)/1947年生まれ。ロンドンのバイアムショー美術学校に在籍後、王立美術大学へ進学。インダストリアルデザインとエンジニアリングを学ぶ。1970年、エンジニアリング会社ロトーク社に入社。上陸用舟艇シートラックを開発。独立後、サイクロン技術の開発に従事。1986年に世界初のサイクロン型掃除機を開発。1993年にダイソン社設立。2006年にナイトの称号を与えられる(撮影:今井康一)

人間は、若いほど創造性が豊かだ。そのため、ダイソンは新卒の学生を中心に採用しており、エンジニアの平均年齢は26歳。私は専門家が嫌いだ。何かを1からインプットする、まったく新しいアイディアを考えるといった柔軟性がないからだ。一方、学生と接していると、「そう来たか」とうなるような斬新な発想が沢山出てくる。

ただ政府は、学生が実用的な「工場」で学ぶことに必ずしもいい顔をしない。

「後継者は息子になる」と明言

――ベンチマークしている企業はありますか。ハードウエアを造っている会社として、たとえば米アップルとか。

デザイナー、エンジニアとして、自分の作りたいものを作ってきたので、他社のことはあまり意識していない。アップル? あまり比較して考えたことがない。ただ若い頃は、日本のソニーやホンダはすごいと思った。今はわからないが、両社の創業期は、技術面でも尊敬したし、ものづくりでも想像の域を超えるような斬新なものを出していた。

――エンジニア集団の陣頭指揮をとっているダイソン氏ですが、現在は70代です。後継者の育成についてはどう考えていますか。

私の後継者という意味では、息子(ジェイク・ダイソン氏)に継承することに決めた。彼は、LED照明事業のエンジニアであり、2015年からは経営のボードメンバーにも加わっている。

――創業家のほかにCEOがいます。経営をするうえでどのように役割分担しているのでしょう。

私や息子の役割は、エンジニアと共に働いて製品を進化させ、彼らを統率することだ。また会社のオーナーでもある。それ以外の経営判断は、CEOが担っている。

――家族経営の利点とは

創業家が株の大半を持つことで、テクノロジーが会社の中心という哲学を持ち、長いスパンでの経営をすることができる。上場もしないので、株主をはじめ誰にもやりたいことを制限されない。これが、私がダイソンを成長させていくうえでベストだと思う唯一の方法だ。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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