
中国自動車市場で苛烈な価格競争が再燃している。2024年の販売台数で首位に躍進したBYD(比亜迪)が大幅な値下げを打ち出したのをきっかけに、競合他社にも値下げの波が一気に広がった。
BYDは5月23日、主力モデルを含む22車種を対象に、クルマを契約した顧客に購入支援金を提供したり、「一口価」と呼ばれる(メーカー希望価格より大幅に割安な)特別価格を提示したりする期間限定の販促キャンペーンを開始した。
それ以前から、BYDの販売現場では顧客との個別交渉による値引きが行われていた。だが、メーカー主導のあからさまな価格攻勢に打って出たのは2024年2月以来だ。
業界2位の吉利も参戦
BYDの動きを受け、新興EVメーカーの零跑汽車(リープモーター)など複数の競合他社が類似の値下げキャンペーンで追随。5月26日には民営自動車大手の吉利(ジーリー)も、傘下の「吉利銀河(ジーリー・ギャラクシー)」ブランドのクルマを期間限定の特別価格で販売すると発表した。
自動車販売の業界団体である乗用車市場信息聯席会(乗聯会)のデータによれば、中国の乗用車市場における2024年の新車販売台数でBYDは首位、吉利は第2位であり、両社合計で約24%の市場シェアを獲得した。
業界の上位2社が相次いで値下げに踏み切ったことで、一時落ち着いていた中国市場の価格競争が再び激しさを増すのは必至だ。
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