パナ「美髪ドライヤー」1000万台ヒットの理由 美容家電は今やパナソニック家電の「顔」に
家電量販店の一角で、ピンク色に彩られた華やかな売り場を見たことがある人は多いだろう。ここで売られているのが、美容家電だ。
美容家電と一口にいっても、そのジャンルは多岐にわたる。噴き出てくる蒸気を顔に当てて使うスチーマーや、自宅で使える脱毛器、微弱な電流が発生するローラーを滑らせて使う美顔器、さらにドライヤーなども含まれる。
ニッチな製品群ながら、伸び悩む家電市場においては成長ドライバーだ。最新の統計である2015年時点の市場規模は約1700億円とまだ小さいが、2年前の2013年と比べると13%も伸びている(野村総合研究所調べ)。
人気を牽引するのが「ナノケアドライヤー」
中でも爆発的なヒットを記録しているのが、パナソニックが展開するヘアドライヤー「ナノケア」シリーズだ。最新機種の店頭価格は1万8000円弱と、平均価格が3000円台、安価なものなら1000円から買えるドライヤーの中ではかなり高い。パナソニックが扱うドライヤーの中でも最高級だ。
それにもかかわらず、「店頭では、2位に大差をつけて断トツで売れている」(ビックカメラ有楽町店の販売員)。買っていくのは、20~30代の若い女性が中心だ。中には、「3人姉妹で1人1台持っている」(20代・会社員女性)という人もいる。若い世代は消費に積極的でないともいわれるが、いったい何が受けているのか。
「白モノ家電は必需品だが、われわれはナノケアドライヤーを“必欲品”と呼んでいる。きれいになりたいという欲求に必要なもの。いわば毛髪美容器だ」。パナソニックで美容家電のマーケティングを担当する久保清英課長はそう語る。単に濡れた髪をモーターとファンで発生させた風により乾燥させることを目的としたドライヤーとは、似て非なるものだ。むしろ、化粧品に近い存在かもしれない。
もちろん、ナノケアドライヤーが自然と必需品の域を脱したわけではない。背景には、メンバーの9割を女性が占めるパナソニックの美容家電マーケティング部隊による巧みな戦略があった。
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