シャープ大型テレビが中国で「爆売れ」の理由 親会社・鴻海の強力バックアップの中身とは
シャープの大型液晶テレビが今、中国で”爆売れ”している。
1月31日に発表された2017年度第3四半期(4~12月)決算では、「シャープ復活」への順調な進捗を裏付ける好調な業績数値が飛び出した。売上高は前年同期比で22%増の1兆8294億円、販売増に加えてコストダウンも効き、営業利益は同約4倍の703億円となった。
【2月7日9時45分追記】初出時、営業利益7030億円としていましたが、正しくは703億円でした。お詫びして訂正します(編集部)。
中でも一番の伸びを示したのは、シャープの売上高の約半分を占め、液晶ディスプレーやテレビの販売を手掛ける「アドバンスディスプレイシステム」事業だ。売上高は前年同期比38%増の8363億円で着地。特に「液晶テレビが前年同期と比べ(台数、金額ともに)2倍に伸びた」(管理統轄本部管理本部長の榊原聡執行役員)。
中国ではテレビ販売が倍以上の伸び
中でも、全体を牽引したのは中国市場での売れ行きだ。調査会社IHSマークイットの調査によれば、中国市場におけるシャープの薄型テレビの販売は、2017年4~6月で前年同期比約250%、直近の10~12月期でも同140%(台数ベース)伸びている。しかも、2016年まではマイナス成長が続いていたにもかかわらずだ。
現在の中国テレビ市場が活況なのかというと、そうではない。今や世界最大の薄型テレビ市場となった同国だが、その成長は鈍化してきている。2017年10~12月期には、初めて前年同期の出荷台数を下回り、韓国サムスン電子、LeTVやハイセンスといった中国勢は軒並み売り上げを落としている。その中で、シャープのみが爆走し続け、2015年比で足元のシェアは約2倍に伸びている(IHSマークイット調べ)。
いったい、中国で何が起きているのか。シャープの野村勝明副社長は、これまでの決算説明会で「(親会社の)鴻海(ホンハイ)グループの営業力を活用した」「販路はオンラインと実店舗の両方ある」という以上のことはなかなか明かさない。そもそも、鴻海グループはEMS(電子機器の受託製造サービス)を事業の核とし、B to Cのビジネスに強いわけではないはずだ。
1つの手掛かりは、12月7日に行われたシャープの東証1部復帰会見の際に経営陣がかぶって出てきた、特製の真っ赤な帽子にある。フロントには、同社がテレビ事業の中で最も力を入れる「8K」の文字が刺しゅうされているが、その右側には、簡体字で「富連網(flnet.com)」とある。聞きなれないウェブサイトだ。
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