脱炭素を錦の御旗に金集めに奔走。環境省の「ミニ経産省」化が止まらない。
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日本政府が昨年末に示した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が、2月10日閣議決定された。脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つの課題を同時に克服するため、再生可能エネルギーや原子力への電源転換を進め、今後10年間で150兆円の官民のGX投資を行うというものだ。
GXを主導するのは経済産業省だ。焦点の1つとなったカーボンプライシング(炭素への価格付け)では、環境省が主張してきた「炭素税(二酸化炭素の排出量に応じて企業などに負担を課す制度)」は導入されず、経産省が主導する「排出量取引(企業間で排出量を売買する制度)」に軍配が上がった。
当てが外れた環境省は、脱炭素を錦の御旗に投資ファンドを設立するなど金集めに奔走している。「霞が関の監視役」にいったい何が起きているのか。
将来的にカーボンプライシング制度導入で得られる財源を裏付けに、10年間で20兆円規模の「GX経済移行債」を発行する。その政府の方針に環境省は、表向き歓迎の意を表明している。だが、裏はまったく違う。まるでお通夜のようだ。
「GXは、経済産業省に完敗です。ずっと環境省主導で炭素税の実現を目指してきたのが、見事にひっくり返された」とある官僚は打ち明ける。GX政策で環境省の存在感はほとんどなくなっているのだ。
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