一方で、指示を受けた部下にも守るべきことがあります。それは、「腑に落ちるまで内容を確認する」ことです。
「的確な指示」とは、双方向のコミュニケーションです。「上司から部下」への一方通行ではなく、「上司から部下、部下から上司」の相互通行によって成り立つのです。上司の指示がわからなければ、部下は指示の内容を理解するまで、聞き直す必要があります。
とくに中間層の社員は、「上司から受けた指示を、さらに部下に伝えるポジション」にいます。課長であれば、部長からの指示を係長に伝えるポジションになります。ということは、上司の指示が腑に落ちていなければ、部下に対して「的確な指示」を出すことができません。
なぜ「重大事故」が「何もなかった」ことになるか
現場で大きなトラブルが起こったとします。
大企業でよく言われているケースでは、課長には、「大きな事故が起きたけれど、現場で対処できる」と伝わります。部長には「現場で事故があったが、それほど大事には至らなかった」と伝わります。
役員には「現場で些細な何かがあったが、すでに解決済み」と伝わり、社長には「今日は、何も、変わったことはない」と伝わります。
大きなトラブルがあったのに、社長の耳に届く頃には「何もなかった」ことになってしまう――これではまるで「伝言ゲーム」(列の先頭から、耳打ちして言葉を伝えていく遊び)です。
人を介するほど不確実性が増すようでは、権限を委譲することはできません。
・指示を受ける側……「指示の内容を理解できるまで聞き直す。偽りのない報告をする」
上司と部下の間に「双方向のコミュニケーション」が成立しなければ、「仕事を任せる」ことも、「仕事を任される」ことも難しいでしょう。指示の内容がクリアになっているから部下は動けるわけですし、部下からの報告に偽りがないからこそ、上司は正しい判断ができるのです。
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