「部下が全然動かない」と嘆く上司の超残念な盲点 仕事を「任せる」のと「丸投げ」はまったく違う

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【任せ方のパターン例】
パターン①「権限の範囲内で、好きなようにやらせる」
例:「○○に関するプレゼンテーション資料を君につくってほしい。こちらからは口は出さないので、権限の範囲内であれば、好きなように資料をまとめてもらってかまわない」
パターン②「仕事の一部分・パーツを任せる」
例:「○○に関するプレゼンテーション資料をつくっているのだが、○○に関するデータが不足している。この部分のデータを集めてほしい。資料をまとめるのはこちらでやるので、君がやるのは、データを見つけてくることだ」
パターン③「上司の仕事を代行させる」
例:「○日後にプレゼンテーションがある。本来は部長の私が説明をするのだが、今回は私の代役として、君にスピーカーを担当してもらう」

①の任せ方は「好きなようにやらせ、上司は口を出さない」わけですから、丸投げと同じではないかと思えるかもしれません。ですが、「こちらからは口は出さないので、好きなようにやってもいい」との指示を明確に出しているのですから、丸投げではありません。

②の任せ方は、「ビジネスラインの一工程を任せる」「作業の一部分だけを任せる」やり方です。

③の任せ方は、部下の視野を広げる一助となります。「一段高い仕事」を任せるようにすると、部下の視野が広がります。上司の代役を任せれば、部下は、自分が部長や課長になったつもりで考えるようになるでしょう。

ビルの1階からでは見えなかった景色が、階が上がるほど視野が広がって、遠くまで見えるようになる。それと同じです。

出所:『決定版 「任せ方」の教科書』

大きな仕事を任されると、結果として視野が広くなる

僕は、日本生命時代、小さなロンドン支店で、500億円の証券運用を任されていました。在任期間3年で、その他に、また、2000億円のお金を新たに貸し付けました。

責任は重大。当然ですが、「本当に回収できるのか」を必死になって考えます。こんなときはプレッシャーを感じて苦しくなることもあるかもしれませんが、この経験は、その後の僕の糧になっていると思います。

大きな仕事を任されると、責任も重くなる。否応なしに階段を上がることになる。その結果、「自動的に視野が広くなる」のです。

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