「部下が全然動かない」と嘆く上司の超残念な盲点 仕事を「任せる」のと「丸投げ」はまったく違う

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上司がすべき“労務管理”とは、「部下に権限を与えたうえで、的確な指示を出すこと」です。部下に権限を与えても、上司の指示があいまいであれば、成果を上げることはできません。極端な話、営業部の上司が部下に対して、

「東京都内ならどこでもいいから、適当に行って、適当に売ってこい」

と指示したところで、部下は困惑するだけでしょう。指示が「適当」だからです。上司は「部下が困らないように、具体的かつ的確な指示を出す」必要があります。営業部員が10人いるのなら、

「23区を江戸川区と荒川区、港区と渋谷区、世田谷区と新宿区、北区と足立区……と10のエリアに分けた。誰がどのエリアを担当するかは、くじ引きで決める」

「売り方は各自に任せるので、担当エリアごとに月100万円の売り上げを上げること」

「扱う商品は、これ」

「報告は、1カ月後でいい」

と指示を与えておけば、「どこに行って、何を、いつまでに、どれだけ売ればいいのか」が明確になるので、部下は動きやすくなります。

APUでも権限の範囲を明確にして指示を出す

例えば、APUの広報資料をつくるとき、僕は広報の担当者に対して、「この要素は絶対に入れてください。それ以外はお任せします」「メッセージの骨子は、こうです。見せ方や表現方法はお任せします」といった指示を出すようにしています。

「サステイナビリティ観光学部の新設にあたっては、『第2の開学』というキーワードを入れてください」

「『在籍学生の出身国数は103カ国・地域となり、2000年の開学以来、はじめて100を超えた』ことを明記してください」

「『APUは小さな地球、若者の国連である』ということを訴求してください」

「入学式の祝辞は、『世界に平和な1日が、一刻も早く訪れることを祈っています』という一文で締めます」

「『APUは国連諸機関でのキャリア形成にもつながっており、現在、約30人の卒業生が国連の機関で働いている』ことを打ち出したい」

このように指示を出しておけば、権限の範囲が明確になります。

次ページ名刺を作るにあたって出した指示
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