「YMO」のいったい何がそんなに凄かったのか その「かっこきもちいい」衝撃について

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2018年6月23日に行われた細野晴臣ロンドン公演の映像が残っている。坂本龍一が急遽「乱入」したことでファンの間で話題となったものなのだが、注目していただきたいのは、高橋幸宏のドラムスである(https://youtu.be/2QtNpj_n82o)。曲は『アブソリュート・エゴ・ダンス』(1979年)。

この高橋幸宏のドラムスの「きもちよさ」はどうだろう。もちろんクリックなど聴いていない。完全マニュアル人力演奏。

人間・高橋幸宏によるグルーヴ

細野晴臣に関する2019年のイベント「HOSONO SIGHTSEEING 1969-2019」のオフィシャルカタログ『細野観光 1969-2019』で、細野はこう語っている。

――「ティンパンアレイの頃、僕はロックのリズムの秘密を発見した。さまざまなオールディーズを聴いているうちに、ロックのリズムには、微妙な揺れがあることに気づいたのだ。(中略)スウィングをやっていたドラマーは、跳ねるリズムを叩いている。一方でギターは8ビートを刻んでいる。そこでできあがる跳ねているようで跳ねていないリズム――それがロックンロールのノリであり、実はブギウギの基本である」

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この映像における高橋幸宏の、幾分もっちゃりとしたドラムスはまさにこれだ。ロックンロールにおける人間臭いスウィング=グルーヴが詰め込まれている。だから「きもちよく」、だからめちゃくちゃ「かっこいい」。

そして、これを見て私は思うのだ。当時の私たちを直撃した「かっこきもちよさ」というYMOの本質――さらに、その本質の本質は高橋幸宏だった、人間・高橋幸宏によるグルーヴだったのだと。

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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