1日2時間練習で「全国優勝」ホワイト部活の実態 東福岡高校が花園で優勝、藤田監督の指導方法
藤田さんのモットーは「小事大事」。例えば、同校の人工芝グラウンドには落ち葉が落ちていない。乾燥した落ち葉を踏むと粉々になり、人工芝の目に入ってグラウンドが傷むことを部員たちが知っているからだ。
落ち葉を見つけたら拾い、練習中はソックスに入れておき、あとで捨てる。「彼らは10年後の後輩のために葉っぱを拾い、部室やトイレを掃除する。自分のためより、人のためにするモチベーションのほうが高いんですよ。だから僕は準決勝や決勝前のミーティングで『今日、キミたちが躍動すること、勝つことで、親御さんや応援してくれる人たちがどんなに喜んでくれるか』と話して士気を高めます」。
すべてのスポーツで当てはまる原則ではない
同校ラグビー部は、短時間集中型の練習、自主性を重んじるスタイルで全国トップレベルを維持してきた。しかし、それはすべてのスポーツに当てはまる原則ではないと藤田さんは釘を刺す。
「欧州型と米国型で大きな違いがあります。欧州型のラグビーやサッカーは試合時間が決まっていて、試合が始まれば監督の言うことは聞かず、選手自身が考え判断して動く。一方、米国型の野球やバレーボールは試合時間が定まらず、監督がタイムアウトを取れる指示命令型のスポーツ。我が校のラグビー部は練習時間がかなり短い一方、練習時間が日本一長いと言っても過言ではないバレー部も全国優勝の常連校なんです。ですから、どんな練習スタイルが適しているかはスポーツや指導者、チーム次第です」
昨今、「ブラック部活」が話題になっている。主に問題視されるのは、教員の過酷な労働環境と、部員への度を越えた厳しい指導だ。
「僕自身は教員や監督という仕事が楽しくてたまらないけれど、現実も十分に理解できます。部活の地域移行は、教員にとっても生徒にとってもいいことだと捉えています」と藤田さん(注:部活の地域移行とは、休日の部活動を地域のスポーツクラブなどに移行すること)。
部活においては「指導者がチームや個人をよく観察して、目標ややり方を決めればいいのではないでしょうか。大切なのは指導者のモチベーションと愛情」と力を込める。
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