1日2時間練習で「全国優勝」ホワイト部活の実態 東福岡高校が花園で優勝、藤田監督の指導方法
2023年1月、全国高校ラグビー大会(通称、花園)で圧倒的な強さで優勝した福岡県の東福岡高校。歴代3位の優勝回数を誇る強豪校を率いる藤田雄一郎監督(50歳)は、「選手たちにありがとうしかない」と喜びをかみしめた。
常勝校と聞けば「連日のハードな練習」「トップダウン型の厳しい指導」「先輩への服従」といった“ブラック部活”をイメージしそうだが、同校は正反対といえる。
1日の練習は長くて2時間、週1日は完全オフで、選手の自主性を尊重。道具の管理やトイレ掃除などの雑用はすべて3年生が担当するなど、独自のスタイルで結果を出している。
「あるショックな出来事を機に自分と部活のあり方を見直した」という藤田さんに、ラグビーにまつわる経験から結果を出す組織論まで聞いた。
中学の野球部で抱いた違和感
福岡市で生まれ育ち、元気な‟ガキ大将“タイプだった藤田さん。中学まで野球をしていたが、高校でラグビーを始めたのには2つの理由がある。1つは中学生のとき、テレビで大学ラグビーの早明戦(早稲田大学対明治大学)を見たこと。スクラムを組み全力でぶつかり合う勇姿に「なんだ、このかっこよさは」と魅かれたという。
もう1つは、中学の野球部で抱いた、ちょっとした違和感だ。負けていた試合の最終回の裏、主力4番の藤田少年に打席が回ってきた。監督のサインはバント。しかし、前の打席でヒットを放っていた藤田さんは納得がいかずフルスイング。さよならホームランのはずが、結果はあえなくゲッツー(併殺)。
「指示を無視したと監督からひどく怒られて、しばらく試合に出してもらえませんでした。もちろん僕が悪いけれど、自分の意志で動けないスポーツなんだと実感しました」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら