低気圧つらい人は自律神経を甘く見てはいけない 「頭痛」「だるさ」気圧と体調の"密接な関係"

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気圧の変化についても同様のことが言えます。気圧の変化は、目で見てわかるものではありません。そのため、視覚からの情報としては何の変化もないのに、内耳では気圧の変化をキャッチしている、という状況になります。

このアンバランスな状態が自律神経に影響を及ぼし、体調不良につながっていることもあるのです。

自律神経は呼吸や消化、循環、排せつといった体の機能を自然に調節する神経系で、交感神経と副交感神経に分けられます。

・交感神経は興奮状態や緊張した状態のときに優位になる
・副交感神経は安静状態や休息状態のときに優位になる

という働きがあります。

交感神経と副交感神経は互いに作用を打ち消しながら体のバランスを取っています。

シーソーのような自律神経

例えば交感神経が優位で心臓がドキドキしているときには、副交感神経が働いて状態を落ち着かせようとします。交感神経と副交感神経が互いに作用しあう様子を、医学博士の舟久保恵美先生は「シーソーのよう」だと表現します。

これは、人間は生命を維持するため、外部の環境変化に対応し、体の内部環境をほぼ一定に保とうとするからです。

この働きを恒常性(ホメオスタシス)と言い、例えば暑いときに汗をかいたり、寒いときにブルブル震えたりするのも、体温を一定に保とうとする自然な反応です。

こうした働きのある自律神経が乱れると、体調にも影響が出てしまうのです。

内耳が気圧の変化をキャッチすると、交感神経が優位に働いて体を環境の変化に合わせようとします。健康な人ならその次に副交感神経が働いて、体の状態のバランスを保とうとするでしょう。

しかし睡眠不足やストレス・疲労などで体調に問題があったり、もともと内耳の機能が敏感だったりする人は、気圧の変化をきっかけに自律神経のバランスが崩れやすくなります。

それによって交感神経が優位な状態が続くと、痛みを感じる神経が強く刺激されて頭痛や神経痛を引き起こしたり、逆に副交感神経が優位に立ちすぎると、眠気やだるさが現れたりするのです。

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