埼玉・小川町メガソーラー、開発地で高まる懸念 経産相から厳しい勧告受けても事業実施追求

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これまで、当初埼玉県条例に基づく環境アセスの計画書段階、国の環境アセス手続きに入った後の環境アセス準備書の段階、太陽光発電事業計画が明らかになる前に残土処分場の建設が計画され、住民に説明が行われた段階で、それぞれ異なる名称の事業主体が住民に対する説明を行い、不信感を呼んだ。(表「さいたまメガソーラー、開発をめぐる経緯」を参照)この経緯についても説明があったとみられる。

さいたまメガソーラー、開発をめぐる経緯

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昨年12月27日、小川エナジー合同会社と小川町はそれぞれのホームページで、住民向け説明会の開催を発表した。1月28、29日両日の開催で会場の案内などが掲載されている。説明会での説明のほか、今後、評価書が公示・縦覧されれば、小川エナジー合同会社が十分に経済産業相の勧告に対応しているか、その本気度が判明する。

小川エナジー合同会社に対して、私は取材を文書で申し込み、代表者の加藤隆洋氏と電話でやりとりしたが、「取材は一切受けていない」ということで、話を聞くことはできなかった。

絶滅危惧種への影響を回避できるのか

経済産業相の勧告の力点は、土砂の搬入の見直しを促すことにあったものの、環境への影響を極力回避、低減することを求めている。特に鳥類と生態系の影響についてはサシバなど猛禽類の複数のペアによる営巣と繁殖が確認されていることやミゾゴイの営巣が確認されたことを取り上げ、「多様で豊かな環境の里山の生態系が形成されている」と述べ、影響を回避・低減する措置をとるように求めた。

サシバはタカ目タカ科に属する中型の渡り鳥で、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類、埼玉県レッドデータブックでは絶滅危惧IA類に分類されている。ミゾゴイは、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類、埼玉県のレッドデータブックでは絶滅危惧IB類の重要な鳥だ。

今年1月8日、NPO法人バードリサーチが主催する鳥類学大会で、埼玉県の環境団体6団体8人が、さいたま小川町メガソーラーの建設予定地で行った共同研究について発表した。発表者の小林みどりさん(みぬまサウルス企画事務所)は、ミゾゴイが生息している可能性が高い古巣4カ所の近くで音声を収録した数百時間分の録音データを分析した。

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