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流通量の1%未満「国産紅茶」が今、超進化していた イギリス「食のオスカー」で3つ星金賞の生産者も

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素材と向き合い、気づきを得る

柑橘類や花、ハーブといろいろ蒸留する中で気づいたのは、花はそれ自体よりも枝のほうがいい香りがすることがあることだ。

「桜や桃は枝のほうがいい香りが出ます。花だけでやってみたらどちらもほとんど香りがしませんでした」

人間国宝の染色家・志村ふくみさんの著書『色を奏でる』『一色一生』等にも、桜は咲く直前の枝で染めるとえもいわれぬ色が取り出せると繰り返し記されていた。

“友人が花の花弁ばかり集めて染めてみたそうですが、それは灰色がかったうす緑だったそうです。幹で染めた色が桜色で、花弁で染めた色がうす緑ということは、自然の周期をあらかじめ伝える暗示にとんだ色のように思われます”(志村ふくみ著『一色一生』より)

素材と向き合うことで、目で見ているだけでは気づかなかったものまで見えてくる。

「ものさしじゃないけど、気になる素材を見つけたらよし悪しを判定する方法の1つとして、一度蒸留して蒸留水にしてみることがあります。その蒸留水の香りがいいものは、フリーズドライにして紅茶と合わせたときも美味しいですね。ちょっと変だなと思ったものは合わないんです」

ショウガの葉を蒸留している様子(画像提供:あまたま農園)

蒸留することで、新たな味の可能性を見つけた素材もある。例えばイグサ。

「イグサは江戸時代に夜泣きする子どもに与えるなど、薬として使われていたそうです。しかし、その飲みにくさからあまり飲まれなくなっていきました。うちでは一度蒸留して香りを抽出した後のイグサをボイル・乾燥させてから紅茶とブレンドしています。この工程を経るとえぐみがなくて、まろやかでほっとする味になります」

熊本県は全国1位のイグサの生産地で、シェアの90%以上を占めている。しかし、生活様式の変化や人口減少など多くの要因から生産量も農家の数も減っている。

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【日本の国土の7割は山、多くの可能性に満ちている】

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