日本の再生医療、法改正で製品化ラッシュへ 海外も羨む早期承認、最短2年で発売可能に

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3月に横浜で開催された日本再生医療学会の総会では、過去最多の約3500人が参加した。

2015年度は、これまで以上に再生医療への注目が集まりそうだ。

3月19日~21日に横浜で開かれた日本再生医療学会総会。昨年よりも約800人多い、過去最多の約3500人が参加し、再生医療への注目度の高さを印象づけた。

講演には今をときめくスター研究者が登壇した。理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは、世界で初めてiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の細胞シートを移植した70代の加齢黄斑変性患者の経過を発表。昨秋の手術前は、症状の進行を抑えるために1回約20万円の眼内注射を打ち続けていたが、今は注射も不要になり、視力の低下やがん化も見られず経過は良好だという。

開発期間が10年から2年へ短縮も

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥教授は、CiRAで行われているiPS細胞を使った再生医療研究を紹介。年内には高橋淳教授らがパーキンソン病治療の臨床研究計画を申請する予定であるほか、輸血用の血小板の作製、腎不全、筋ジストロフィー、関節疾患の治療などでも研究が進んでいる。

再生医療はまだ人への臨床応用の緒についたばかりだが、日本で世界のどこよりも早く実用化が進む可能性が高まっている。きっかけは、2014年秋の再生医療の法改正だ。

特に国内外の企業から熱い視線を集めているのが、早期承認を可能にした医薬品医療機器等法(改正薬事法)だ。これまで再生医療を規制していた旧薬事法は、細胞を使う再生医療製品にも、化学合成の薬と同じように均一な品質や大勢の患者での比較試験を求めるなど、再生医療の性質をまったく踏まえていないものだった。

その結果、2012年12月時点で、日本で実用化された再生医療製品は、富士フイルム子会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが開発した人工軟骨と重症熱傷用の人工表皮の2品目にとどまっていた。一方、米国は9品目、欧州は20品目、韓国は14品目が発売済みと、大きく水をあけられていた。

改正薬事法では、旧薬事法の「医薬品」、「医療機器」とは別に、「再生医療等製品」というカテゴリーを新設。再生医療製品は、従来の薬と同じように 安全性を確認したうえで、一定数の患者のデータから有効性が推定されれば発売できるようにした。

その結果、日本で再生医療製品を開発すれば、早ければ2年程度という世界に類のない短期間で国の承認を得て販売することができ、従来10年近くもかかっていた実用化のプロセスが大幅に短縮される。

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