欧米で進む「レイオフの波」日本にもやってくる? 2023年エンジニア採用トレンドはどうなるのか
──技術領域で注目すべきものはありますか?
高野:Meta(旧Facebook)の失速やFTXの経営破綻などネガティブな要素もありますが、中長期的に見るとメタバースやNFTなどのWeb3は伸びるでしょう。この領域で必要とされるRustやSolidity、Vyperなどのプログラミング言語を習得した人は、市場ニーズも高くなります。
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などのXR技術も引き続き需要があるので、ゲームエンジンのUnityやUnreal Engineを扱える人や、XRサービスを支えるサーバーサイドエンジニアが求められる場面は増えていくと思います。
もう1つ、注目が高まっているのが品質保証管理の領域です。例えばソフトウェアの品質保証やテストサービスを提供する株式会社SHIFTは近年急速な成長を遂げ、2022年11月末時点の時価総額は5000億円、従業員数9000人超の規模に達しています。
今はあらゆるサービスやプロダクトにおいて高いレベルでの品質保証が求められますが、SIerやITコンサルは開発にリソースを取られて手が回らないため、この領域に特化したSHIFTのような会社にアウトソースするケースが増加中です。
この領域で求められるのがQAエンジニア(品質保証エンジニア)で、これまでは必ずしも人気の高い職種とは言えなかったかもしれませんが、現在は非常にニーズが高い。さらにチームをまとめるマネジメントスキルがあれば、市場価値も年収も極めて高くなります。
開発経験を持つ人材はニーズが高い
──ほかにもニーズが高まりそうな職種はありますか。
高野:現在でも求人が多いのはPMやPdM(プロダクトマネジャー)で、今後も高い需要が続くでしょう。それと比較すると数は少ないですが、CTOやVPoEを探している企業も増えています。
注目したいのは、いずれの職種においても企業は開発のバックグラウンドを持つエンジニア出身者を求めている点です。DX関連のプロジェクトが急増しているので、技術を理解したうえで案件や組織をリードできる人材にはニーズがあります。
開発経験を軸としつつ、サービス企画やデザイナーへのディレクションもできると、市場価値の高い人材として評価され、報酬も上がりやすくなります。