暴行も発生「ブレイキングダウン」の熱狂続くワケ SNSに特化「場」をネットに生み出した巧みさ

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「初期の頃は、いきなり殴りかかるような粋がった態度を取って人気を取る参加者が多かったが、そうしたやり方はもう飽きられている。(暴力事件で相手が出場停止となって試合がなくなってしまった)まさお選手などは、試合にも出ていないのに寛容に相手を許そうとするキャラが受け入れられています。直近のオーディションでは”騒いで目立つことができれば、自分的にはOK”という参加者も目立ち始めました。薄っぺらいエピソードを持ってきて、言葉だけでエンタメを作ろうとする。でも、それでは僕自身が面白くない。

優れた人気MMO RPGは、つねに新しいコンテンツやルールの枠組み改良などで10年以上もファンを惹きつけています。イベント設計のテクニックでわたしもこのイベントを、より多くの人が面白いと感じてくれるエピソードを生み出すものに進化させていきたい」

ハプニングの面白さと「安全性」のバランス

ただし暴行傷害事件と判断されてもおかしくはない出来事が起きたならば、その場、機会を作っているイベント運営者として、警察当局に判断を委ねるべきだったのではないかという疑問はなお拭えない。

実際には(生配信などでは明らかにされていなかったが)久保田選手が起こした事件では、イベント配信中に地元警察に通報したうえで関係者が事情聴取に応じていた。同様の対応が緒方選手が怪我を負ったオーディションで行われなかった理由について、YUGO氏は「運営チーム内や出場者との間で共有されているルールがあり、その範囲から逸脱しているのか、それとも明文化されていない”行間で起きたハプニング”なのかで判断している」と、具体的な理由については明らかにしなかった。

「我々の中では明確にルールは作っている。しかし、ダブルスタンダードという意見があるならば、それについては甘んじて批判は受けます」(YUGO氏)

BreakingDown7のオーディション会場に現われたK-1ファイターの安保瑠輝也選手(写真:BreakingDown)

実際にBreakingDown7のオーディション会場で、参加者の持ち物チェックでは、武器に相当するものはもちろん、問題になったアルコール飲料の持ち込みなどかなり細かく行われていた。監視するスタッフも増やしているようだった。

一方で抑圧が強すぎると参加者が萎縮してしまい、予測不能のハプニングは起きにくい。BreakingDown7のオーディションでは、問題行為は発生しなかったものの、参加者向けのルールなどは当事者以外には公開されておらず、依然として不透明なままであることに変わりはない。

U-18大会や海外大会の開催を計画しているという今年、運営チームは「エンターテインメント性と安全性」のバランスをどのように取っていくのか。その本当の力量を問われることになる。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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