"じゃんけん"でわかる「今年幸せになれる確率」 理論物理学者がつづる、人生に役立つ"不思議"
つまり、「あいこ」になるのは6通りのうちの4通りで、それが起こる確率は、4/6=2/3となり、双方が、でたらめに出し合う場合よりも起こりやすくなります。あなたの立場から考えれば、でたらめに出すよりも、ただひたすら、着実に、グー、チョキ、パーを出し続けることで、でたらめな事象と「あいこ」になる確率が大きくなるということです。
ここで、「あいこ」を、「何か良きこと」との出会いだとすれば、何事も、地道にたゆまぬ努力を続けることが、良い成果に結びつくということになりますね。
この論法を進めていくと、文字量の都合で詳しい説明は省きますが、たとえば、初めての街で良いカフェを探す場合、探す店の数を決めておき、その37%(※2)をチェックし終えたところでひと区切りつけて、そこからさらにチェックを続け、これまでよりも良いと感じた最初の店が最善の選択であるという結論が出てきます。
つまり、探す店の数を10軒前後に設定した場合、その37%に相当する4軒目までをチェックした後に、これまでの4店よりも良いと感じた店に出会ったら、そこに決めなさい、というものです。
多人数から秘書やパートナーなどを選ぶときにも役立つ数学の知恵で、最適停止問題とか秘書問題などと呼ばれています。明らかな間違いよりも、おおむね正しい選択へとさりげなくいざなってくれる数学の力です。
“ゆらいでいる”ほうが、うまく生きられる
人が“美しい”と感じるものはそれぞれだと思いますが、小川のせせらぎの音や星のまたたきを前にすると無条件に心がひかれる、という人も多いのではないでしょうか。
人間の脳は、“変動するもの”に敏感に反応するという性質があります。たとえば、ホテルで寝ているとき、冷蔵庫から聞こえるジーッという音が最初は気になるけれど、時間が経つにつれ、気にならなくなる。けれど、その音がパタッと止まると、反対に気になるという経験はありませんか?
人間の脳は、変化しない刺激には慣れてしまって感知できないのです。同じ香水をつけていると、そのニオイに気がつかなくなり、つけすぎてしまうというのも脳のメカニズムに起因しています。
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