"じゃんけん"でわかる「今年幸せになれる確率」 理論物理学者がつづる、人生に役立つ"不思議"

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けれど、「体=あなた」ではありませんよね。今の時代、自分探しという言葉もありますが、あなたはあなたではないものからできている。だから、いくら自分のなかに「自分」を探しても、見つからない、というわけです。

では、あなたはどこに存在するのでしょう。それは、人生、生きるということを考えることにもつながります。私は、「生きる」ということはあなた自身の物語をつくることだと思っています。生まれながらにして全員が、作者なわけです。

物語をつくるには、自分ひとりでは成立しませんよね。自分と自然とのかかわり、自分と相手とのかかわり、それはすてきなかかわりだけでなく、醜かったり悲しかったり、困ったかかわりもあるでしょう。そのすべてのものとのかかわりによって、あなたの物語、人生がつくられる。つまり、人はひとりで自己を確立できない。相手があって初めて、「あなた」という存在が確立されるのです。

これは感情論ではなく、物質の相互依存として宇宙が構成されていることの結果であって、科学的なものの見方です。みなさん、新しい1年、そしてこれからの人生、ぜひ美しい物語をつくっていってくださいね。

“じゃんけん”の法則から見る「幸せの確率」

「雨垂れ石を穿つ」という“ことわざ”があります。これは、中国の古典『漢書』に出てくる言葉で、雨垂れでも、同じ場所に長い間落ち続ければ、硬い石に穴をあけてしまうことから、何事も辛抱強く努力を重ねていけば、必ず報われる、ということのたとえです。

実は、じゃんけんの世界にも、この“ことわざ”に通じることがあります。あなたと相手がじゃんけんをして勝ち負けではなく、「あいこ」になる場合について考えてみます。

まず、両者ともに、グー(G)、チョキ(C)、パー(P)を、でたらめに出すとします。すべての組み合わせは、GG、GC、GP、CG、CC、CP、 PG、PC、PPの9通りです。そのなかで「あいこ」になるのは、GG、CC、P Pの3通りですから、「あいこ」になる確率は3/9=1/3です。

次に、相手には目隠しをしてもらって、あなたがGCPを同じ順序で出し続けた場合、でたらめに出してくる相手のすべてのパターン、GCP、GPC、CPG、CGP、PGC、PCGの6通り(※1)のなかで、あなたと1回でも「あいこ」になるのは、「あいこ」にならないCPG、PGCを除いたGCP、GPC、CGP、PCGの4通りです。

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