コーヒーを「ブラック」で飲む人が知らない"真実" 酸味を嫌う日本人が多いのには実は深い経緯が…

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── シングルでも焙煎を変えることがあるということは、当然、ブレンドも豆ごとに焙煎は変えるのですね?

上野:はい。ブレンドする前の生豆を別々に焙煎することをスプリット・ロースティングというのですが、例えばアフリカ産のコーヒー豆は酸味が特徴なので浅煎りにして、残りは深煎りにすることで味に奥行き感や変化を出すことができます。ただし焙煎をするとすぐに酸化が始まるため、複数の焙煎機が揃っているなどの環境がないと、なかなか難しいのです。ネスプレッソは、そうした設備も整っているので様々な種類の味を出すことが可能です。日本では、そこまで緻密にスプリット・ロースティングを行えるロースターは数少ないと思います。

──  日本ではずっと深煎りが好まれたのでしょうか?

上野:近年、繊細なアロマが残る浅煎りが北欧などで再注目されています。日本でも「サードウェーブコーヒー」としていくつかのコーヒーチェーンが進出しています。北欧のような硬水の土地と浅煎りは相性がいいのですが、日本のような軟水の土地で浅煎りのコーヒーを淹れると、酸味がより際立つことがあります。そのため苦手に感じた方もなかにはいらっしゃったかもしれませんね。

── 水によっても味が変わるんですね。

【POINT】
● 焙煎のレベルは大きく分けると浅煎り、中煎り、深煎りの3段階に分けられる
● カフェイン量は深煎りより浅煎りの方が多い
● 焙煎はコーヒー豆のテロワールや品種によって温度と時間を細かく変えていく
● 日本の水では浅煎りコーヒーは酸味が強く感じられる

コーヒーにはテイスティングという楽しみ方もある

上野:最後にコーヒーのテイスティングをしてみませんか。北欧や欧米ではワインと同じようにコーヒーのテイスティングがよく楽しまれています。

── 日本ではあまり聞きませんね。どうのようにするのでしょう?

上野:では、こちらのシングルオリジンの「コロンビア」で試してみましょう。コーヒーを抽出したら、まずクレマ(泡)を見ます。クレマがあることで焙煎香と繊細なアロマを最後のひと口までとどめてくれます。コーヒーによって、クレマ一つひとつの大きさや色が違いますし、深煎りは濃い色、浅煎りは明るめのブラウンになります。

── なるほど。

上野:次は香り。どんな香りがするのか鼻で確認してからスプーンでクレマをグラスの端に寄せて、2段階で香りをチェックします。それぞれどんな香りがするか言語化してみてください。

── すごくいい香りですね。赤ワインのような熟した香りもするし、フルーツのような香りもします。これはテイスティング用のグラスでしょうか?

上野:はい。普通のカップでも良いのですが、ネスプレッソでは、リーデル社と共に形状の異なる3種類のテイスティング用グラスを作りました。例えば口径が違うと首の傾きが変化して液体が一番初めに舌に当たる部分が変わります。それによって味わいの違いを感じやすくなるのです。

舌先は甘み、両側は塩味、奥の両側は酸味、奥の中央は苦味を感じるので、グラスごとに味の感じ方が異なります。実際に体験するととても面白いですよ。

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