コーヒーを「ブラック」で飲む人が知らない"真実" 酸味を嫌う日本人が多いのには実は深い経緯が…

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── ちなみにブレンドコーヒーというのは数種の豆をブレンドしたということですよね?  ストレートコーヒーに比べると安いコーヒーというイメージがありますが。

上野:確かに喫茶店でもブレンドより単一原産国のコーヒーの方が高い傾向にあるように思います。でも、決してブレンド=安い豆というわけではなく、産地の違う豆をブレンドすることで、それぞれの良さを生かして味わいに奥行きと立体感を持たせることができます。ネスプレッソでもそのようにして様々な産地の豆を最適にブレンドすることで個性的で贅沢な味わいのコーヒーをたくさん作っているので、ぜひ味わってみてください。

【POINT】
● コーヒーノキは、アラビカ種とロブスタ種という2大飲用種で占められていて、アラビカ種が7割、ロブスタ種が3割
● 「特定銘柄コーヒー」は公的機関から認定された銘柄のことで、現在14種ある
● まずはブラジル、インドネシア、エチオピアという3つの原産国から抑えてみるとよい
● ブレンドコーヒーは複数の豆の良さを生かして新たな味わいをつくっている

コーヒーは、焙煎がすべて?

── さて。原産国から届いた生豆は焙煎されてから販売されるわけですよね。最近はコーヒー屋さんの店内に大きな焙煎機を備えた店もありますが、焙煎によってもコーヒーの味は大きく変わるのでしょうか?

上野:焙煎も、コーヒーの味を決める大切な工程です。焙煎のレベルは大きく分けると浅煎り、中煎り、深煎りの3段階に分けられます。コーヒーの種には油脂分があり、焙煎が強くなると中の細胞が壊れて豆の外側にオイルが染み出してきます。時間と温度で煎りの度合いは変わり、コクや酸味、アロマ、油分が変化していきます。

浅煎りはオイルが少なく、弱めのコク、繊細なアロマに仕上がり、産地独特の味わいや香りが出て、酸味も強めに感じられます。中煎りは軽いオイルとバランスの取れた風味、アロマ、酸味が特徴。深煎りになると、しっかりしたコクとベルベットのような口あたりがあります。苦くスモーキーで焙煎の風味が出るので、原産国独特の風味は隠れやすくなります。

またコーヒーと言えばカフェイン量を気にする方も多いと思いますが、実はカフェイン量は焙煎が進むほど減少するので、深煎りよりも浅煎りの方がカフェイン量は多いのです。

── コーヒーの味が濃い方がカフェインが多い印象がありますが、違うんですね。ところでどうやって焙煎の度合いを決めるのですか?

上野:コーヒー豆ごとに美味しさを引き出す焙煎は異なるため、例えば230度前後の高温で短く8分、180〜200度の低温でじっくり12分など、テロワールや品種によって細かく変えていきます。エチオピアであれば、浅煎りで仕上げることでジャスミン、百合、オレンジの花のような香りが出てきます。少しでも焙煎を間違えるとこれらの香りは出ないため、とても難しい技術です。ネスプレッソでは、単一原産国の味わいを楽しめるカプセルコーヒーでも味に奥行きと立体感を持たせるため、浅煎りや中煎りなど複数の焼き方で焙煎を行っています。

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