「どうする家康」信長、秀吉になかった堅牢な決断 本質は狸ではなく泥臭く考え抜くアンチヒーロー

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NHK大河ドラマ「どうする家康」
「どうする家康」のタイトルが意味するところを探りながら見ていくのも面白いかもしれません(画像:NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイト)
1月8日からNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送が開始されます。嵐の松本潤さんが主演を務めるという点でも大きく注目されていますが、徳川家康が単独で主人公となる大河ドラマは滝田栄主演の「徳川家康」(1983年)以来、実に40年ぶり。「葵 徳川三代」(2000年)を含めると、家康は最も多く大河ドラマの主人公に選ばれた人物になりました。
この家康、同時代の英傑である織田信長、豊臣秀吉に比べると人気の面では劣る印象がありますが、その一方で経営者には強く支持される傾向にあります。なぜ、このような二極化とも言える現象が起きているのでしょうか。『ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』の著者、眞邊明人氏が解説します。

家康のイメージは狡猾な「狸親父」

徳川家康は「狸親父」などと揶揄されることが多く「秀吉の天下をかすめ取ったずる賢い老人」というのが定番的なイメージです。これは歴史小説や歴史ドラマの多くで、そう描かれていることからもわかります。「真田丸」(2016年)で家康を追い詰めた真田の活躍に共感し、家康を憎々しく思った人も多いのではないでしょうか。

このような認識が広く一般に浸透しているのに対し「経営の極意がそこにある」という考えから、山岡荘八の『徳川家康』を読む経営者は昔から大勢いました。もちろん今でも信長や秀吉より家康を学べという声を多く耳にします。つまり、庶民には嫌われ、経営者に好かれるのが家康なのです。

信長、秀吉が広く一般に支持されているのに対して、なぜ家康は支持が二分されてしまうのでしょうか。

その大きな要因が、深く感情移入できるかどうかです。信長は強いリーダー、新時代をつくる改革者というイメージで語られます。自分ではどうしようもない硬直した社会や権威を打ち壊してくれる人物。たとえ、その裏側に「逆らう者は容赦しない」という苛烈さがあったとしても、それも含めた強さに「憧れ」を抱くのです。常人にはとてもできないようなことに挑戦する姿にワクワクし、成し遂げていくことに爽快感を得られるのも大きいでしょう。

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