「silent」で話題の"手話"ドラマや映画での描き方 映画「ケイコ」等聴覚障害者を扱う話題作も続々

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また、過去の名作とかにも字幕が付いていないので、そういう作品にも字幕を付けてほしいところです。個人的には幼いころセリフを想像しながら見ていた『わんわん忠臣蔵』とか『太陽の王子ホルスの大冒険』とか『悟空の大冒険』とかを字幕付きで見たいなぁと夢見ています(笑)。

あと、字幕にも課題があります。まったく聞こえない場合は音のイメージがつかめません。「セミの声」と「ひぐらしの声」の違いをなかなかつかめないし、「小鳥のさえずり」にしても都会の小鳥と山奥の小鳥ではさえずり声が違います。そういうイメージをいかに聞こえない人に伝えるかなどはまだまだ工夫が必要です。

できれば一定数以上を販売する映像作品には字幕データの付与を義務化するなどの法改正があればよいなと思っています。そうすれば聞こえない人も購入しますから発売元もそんなに負担にならないかなと思いますし。

いろいろな方法で意思疎通を試みてほしい

――確かにおっしゃる通りだと思います。越智さんの活動をサポートするために、われわれが何かできることはありますか?

聴覚障害者は外見から気づきにくいので理解や支援がなかなか進まないところがあります。そのため、聞こえない人と出会ってもどう接していいかわからず避けたり話そうとしないことも多いんじゃないかなと思います。

手話を知らなくても身振りで簡単な内容ならけっこう通じますし、スマホなどの文字機能を使えば気軽に意思疎通ができますので、まずはいろいろな方法で意思疎通を試みてほしいです。そして、そういうことを周りの方に伝えていただければ嬉しいです。

越智大輔(おちだいすけ)
1956年生まれ、福岡県出身。83年、東京都聴覚障害者連盟の職員となり、87年に同連盟事務局長に就任。絵本「はじめてであう手話」(全三巻・汐文社)執筆・編集するほか、新聞や雑誌等への執筆、書籍やドラマ、映画の監修等多数。手話監修を担当した作品に、劇場版アニメ『聲の形』(16/山田尚子監督)、テレビアニメ「GANGSTA.」(15/ABCTV・TOKYOMX)などがある。
壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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