「silent」で話題の"手話"ドラマや映画での描き方 映画「ケイコ」等聴覚障害者を扱う話題作も続々

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――『ケイコ』の中でも描かれていましたが、コロナ禍で大変になったことも多かったのではないでしょうか?

マスクをすると口の形や表情が読めません。手話は表情や口の形が大事なのでマスクでの手話の会話は大変です。透明のマウスガードやフェイスガードを使っていますが、ウイルス防止効果があまりないということで嫌な顔をされることもあります。

コロナが広まったころちょうどレジ袋の有料化が始まりました。「袋要りますか」と聞かれてもマスクだとわかりません。いちいち聞こえないということを身振りなどで伝える必要がありますし、聞かれたことすら気がつかなくてそのままということもあります。

袋を欲しいと思っても、「要りませんよね?」と聞かれたのに、「要りますか?」と聞かれたと勘違いしてうなずいたためにもらえなかったり。別のことを聞いていたのに、うなずいてお箸を差し出されたり。

私自身、8月にコロナに感染したのですが、保健所との連絡がとても困りました。ほとんどが電話で対応しています。メールやFAXでも対応してもらえることになっているのですが、後回しにされたり、詳しい話をしてもらえなかったりでほとんど支援を受けられず、近くに住んでいる娘や知り合いの手話通訳者のサポートで何とか乗り越えました。

情報を持っていて支援してくれる人も多い私ですらこのような状態でしたから、情報をなかなか得られず支援する人もいない高齢ろう者の場合はもっと大変だと思います。

映画業界で必要な取り組み

――ろう者の方は、字幕があるため洋画を観る機会が多く、邦画を観る機会が少ないというのは考えさせられる話です。今後、映像業界はどういった取り組みが必要になってくると思われますか?

テレビの文字放送も増えてきており、字幕付き邦画の上映も増えています。私は映画のほかにも特撮やアニメが好きなのですが、衛星放送のアニメ・特撮番組やネット配信のものも字幕が増えていて、嬉しい限りです。

ただ、まだ民放で放送するようなメジャーな作品が中心なので、地方局が放送するようなマイナーな作品にはまだ字幕が付かないことが多いのが残念です。

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