1パック5000円「究極レトルトカレー」驚愕の中身 採算度外視、究極のおいしさを追求して誕生

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昨今は、デパ地下などで高額弁当が人気を呼んでいるが、菊池さんは「あまり意識はせず、結果的にそうしたニーズに合致したら――というくらいの気持ちです。一番は、“作ってみたい”というシンプルな動機です」と話す。

完売するヒミツはどこにあるのか? それを説明する前に、レトルト食品についておさらいしておこう。

そもそもレトルト食品とは、一度調理を行った後、レトルト殺菌装置(レトルト釜)の中で120度、4分以上の高温・高圧によって殺菌された食材を、気密性容器に詰めたもの。

レトルト殺菌法は、100年以上前にフランスで考案され、イギリスで実用化。1950年代には、アメリカ軍が軍用食としてレトルト食品を発展させたが、一般家庭、つまり市販レトルト食品としてはなかなか普及しないという背景があった。

そのブレイクスルーとなったのが、ここ日本である。

1968年、試行錯誤の末、大塚食品(当時は大塚食品工業)から「ボンカレー」が発売されるや、同商品は年間1億食を売り上げるお化け商品に。この大ヒットを機に、さまざまな市販レトルト食品が開発され、世界に普及していく。いわば市販レトルト食品は、日本発のアイデア商品といっても過言ではない。

高級レトルトに活路

実は、にしき食品も「ボンカレー」に感化された企業の一つだった。

もともと、にしき食品は佃煮製造業を営んでいたのだが、時代の変化とともに経営は下降線をたどる。佃煮という保存食を製造していたため、新たな殺菌技術(新時代の保存食)であるレトルト殺菌に着目し、レトルト食品メーカーへと舵を切ったという。

「試行錯誤を繰り返す中で、徹底的に素材にこだわった背景があります」と菊池さんが話すように、今現在もにしき食品で使用されている水は、蔵王山系と甲子旭岳を水源とする水を丁寧に濾過したもの。そして、塩や油といった基本的な食材を見直していった結果、今に続く「化学調味料・着色料・香料不使用」というこだわりのレトルト食品にたどり着いたそうだ。

「レトルト食品は、技術力のかたまりとも言える商品なんですね」(菊池さん)

とことん追求してみたい――。そうした思いから「究極のレトルト2022」は生まれたという。このこだわりが、思わぬ販路を切り拓いていると話す。

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