「サウナ好きの独身男性」が失い続けているもの 快感を得る一瞬の幸せは「本当の幸せ」なのか

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サウナ
(写真:kikuo/PIXTA)
脳科学から統計学まで、幅広い学術的根拠をもとに、「幸せに生きるにはどうしたらいいか」を研究する「幸福学」。その第一人者ともいえるのが、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授です。
前野氏によれば、幸福には2種類が存在し、ある片方だけを満たし続けるような生き方では、真の幸福を手に入れるのは難しいといいます。その一例が、「独身男性のサウナ通い」。その真意を、近著『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』の内容から解説していきます。

ほとんどの日本人が、幸福を誤解している

幸福学においては、幸福を2種類にわけて考えます。1つが「ハピネス」で、もう1つが「ウェルビーイング」です。ざっくり定義すると、ハピネスは「お金で買えるもの、数値化できるもの」。ウェルビーイングは「利他心によって体感できるもの、数値化しにくいもの」と区別できます。わたしたち日本人にとってなじみ深いのは、ハピネスのほうでしょう。

しかし、真の幸福を手に入れるにあたっては、ハピネスだけでは不十分なのです。

そのことを示すために、わたしの近著『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』のなかで取り上げた例を紹介します。ある独身男性の話です。彼は「サウナと1人焼肉の休日」こそが“至上の幸福”だと信じてやみませんでした。

たしかに、誰にも邪魔されずにサウナや焼き肉を満喫するのは、楽しいものです。同様の休日を過ごされている方もたくさんいると思います。幸福学の見地からも、決して悪いものではありません。

しかし、それだけでは不十分なのです。

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