「サウナ好きの独身男性」が失い続けているもの 快感を得る一瞬の幸せは「本当の幸せ」なのか
実は、お金を使ってもウェルビーイングに近づくことは可能です。重要なのは、何にお金を使うか。一言でいえば、「モノでなく体験」にお金を使うことを心がけるべきです。もっともわかりやすいのは、旅行でしょう。多くの調査や研究によって、旅行はモノよりもはるかに持続する幸福をもたらすことがわかっています。
とはいえ、毎月のように旅行に行ける人など、そう多くありません。そこでより身近な行動としておすすめしたいのが、「ネットショッピングの代わりに個人商店で買い物をしてみること」です。個人商店は、しばしば不便です。買い物客の傾向から最適化されたラインナップも用意されていません。むしろ興味のないもの、見たことのないもののほうが多いケースすらあるでしょう。
だからこそ、思いがけない出会いがあり得るのです。できれば、店主さんと会話を楽しみながら買い物ができたらベターです。そこで購入したものには、必ず思い出がセットで付くことになります。たとえ、その買い物が失敗であったとしてもいいのです。
失敗談をすることがポジティブな自己開示に
中京大学と筑波大学が共同で2016年に発表した論文によると、「失敗談」をすることがポジティブな自己開示につながり、QOL向上をもたらすとしています。そのように考えると、個人商店での買い物は、「どう転んでも幸せになってしまうお金の使い方」かもしれません。
くり返しますが、サウナや1人焼肉は、人生にちょっとした華を添えてくれる要素であり、それ自体は悪いものではありません。大切なのは、その一方でウェルビーイングを意識し、両者のバランスをとって生きていくことです。
そのほか、『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』では、孤独でも幸福な人の共通点や、幸福感を他人に感染させる方法、他者と比較しないで済むSNSの使い方などを解説しています。1人でも多くの人が、ウェルビーイングを知り、実践していく世の中になることを願って、今日もわたしは研究を続けています。
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