「サウナ好きの独身男性」が失い続けているもの 快感を得る一瞬の幸せは「本当の幸せ」なのか

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理由は主に3つあります。第1に、サウナと1人焼肉がもたらす快楽は、持続しないからです。瞬間的には脳内でドーパミンが分泌され、快楽を得ることができますが、翌日には跡形もなく消失し、それで終わりです。よって成長にもつながりにくく、人生の向上にも寄与しづらいと考えられます。

自分より豪華なサウナに行っている人がいたら?

第2に、お金で買える行為はしばしば他者との比較につながるからです。1人で焼肉を食べながら、サウナと焼肉の写真をSNSに投稿したとしましょう。しかし次の瞬間、自分とは別のアカウントの投稿に気づくかもしれません。

そこには、もっと豪華なサウナ、あるいはもっと美味しそうな焼肉の写真が投稿され、自分よりはるかに多くの「いいね!」をもらっているとしたら、どうでしょう。その瞬間から、さっきまでの高揚感は急激に下り坂になっていきます。あとに残るのは、劣等感です。

第3に、1人で完結する趣味には、“出会い”の入り込む余地がありません。出会いは体験であり、記憶に繋がります。そして言うまでもなく、記憶は持続するものです。しかしこのように述べると、必ず次のような反論があります。「出会いや体験には、悪いものだってあるのでは?」と。それはその通りです。

ですが後述するように、悪い体験にも、いや、悪い体験だからこそ幸福に近づくことすらあるのです。もちろん程度問題ではありますが、出会いや体験の根本がポジティブなものであることは、知っておいてほしいと思います。

いったんまとめましょう。ハピネスに欠けているものは「持続する幸福感」「他者と比較しないマインド」「出会いや思い出」の3つでした。そこでいよいよ、「ウェルビーイング」の出番というわけです。

次ページハピネスからウェルビーイングへ移行する、世界的な必然
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