「表情」の魅力度を変えてしまうアルコールの魔力 飲酒にまつわるトラブルと「表情」の意外な関係
忘年会、クリスマスパーティー、新年会、その他懇親会等々、なにかとお酒を飲むことが多くなる年末年始。アルコールを入れることで、気分が高揚し、普段口数の少ない人も饒舌になります。
複数の研究や分析によると、アルコールを飲むことでポジティブな表情が増え、ネガティブな表情が減るということがわかっています。さらに、苦手意識がある人と過ごしていても、ネガティブな表情が減り、沈黙する頻度も減ります。そのため、アルコールは、人間関係を良好にする効用があるのです。
しかし、良い側面ばかりではありません。饒舌や社交性がいきすぎると、迷惑な絡みになります。特に、異性が存在する場におけるアルコールは、社交性や積極性が高まることで、良き恋愛関係を形成するきっかけとなる場合もあれば、セクハラ、危険な性行動、不倫等、人生を棒に振りかねない事態のきっかけとなることもあるでしょう。
「何でこんなことになってしまったのだろう」と嘆かなくてすむように、本稿では、アルコールがもたらす影響についてご紹介します。
表情の魅力度を変えるアルコールの魔力
驚くべきことに、アルコールには、表情の魅力度を変える力があるのです。まずParkerら(2008)及びLyversら (2011)の研究から見てみましょう。
最初にParkerら(2008)の研究です。実験参加者の学生84名に、トニックウォーターで割ったウオッカ(アルコール度数14%のワイン250ml、あるいは5%のビール700mlに相当)、あるいは、同量のトニックウォーターを飲んでもらいます。前者をアルコールあり条件、後者をアルコールなし条件と呼びます。
それぞれの飲み物を飲んでもらった後、参加者に男女が真顔で写っている顔写真を見てもらい、魅力度を評価してもらいます。また、この実験の24時間後、アルコールを飲んでいない状態で、同様に男女の顔写真の魅力を評価してもらいます。
実験の結果、アルコールなし条件の参加者に比べ、アルコールあり条件の参加者のほうが、同性・異性問わず、写真の魅力度を有意に高く評価することがわかりました。
また、最初の実験の24時間後に行った魅力度評価では、前日にアルコールなし条件であった男性参加者に比べ、前日にアルコールあり条件であった男性参加者の方が、女性の写真を評価するときのみ、魅力度を高く評価することがわかりました。前日のアルコールの影響が、男性に限定して続くということです。