「表情」の魅力度を変えてしまうアルコールの魔力 飲酒にまつわるトラブルと「表情」の意外な関係

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続いてLyversら (2011)の研究です。この研究は、実験室ではなく、実際に飲酒がなされている場で行われました。調査者は、午後9時と午前0時に大学内のパブやキャンパス内のパーティーに出向き、潜在的な調査参加者に声をかけ、調査に参加可能かを尋ねます。最終的な調査参加者は、80名となりました。

参加者のアルコール濃度はアルコール度数測定装置によって計測します。そして、男性参加者には、女性の顔写真を見せ、女性参加者には、男性の顔写真を見せ、魅力度を評価してもらいます。

ビアゴーグル効果とは?

調査の結果、アルコールを飲んでいない参加者に比べ、アルコールを中程度、中程度より多く飲んでいた参加者のほうが、異性の写真の魅力度をより高く評価する傾向にあることがわかりました。

この2つの研究だけでなく、2018年に実施されたメタ分析(複数の研究を集め、統合的に捉えるための手法)でも、アルコールを飲むと異性の顔の魅力を高く評価するという傾向が見出されています。

この効果は、ビアゴーグル効果と呼ばれています。ビール(アルコール全般)を飲むことで、ゴーグルをかけたようになり、曇った目で人を見ている、だから真の姿を見誤る。そんなところからこの名称がつけられています。

それでは、ビアゴーグル効果はなぜ起きるのでしょうか。目下、3つの説が考えられています。

1つ目は、アルコールを飲むことでドーパミン報酬系が活性化し、身の回りのものをポジティブに評価するようになる。平たく言えば、お酒を飲むと気持ちがよくなるため、評価もそれに続く、ということです。

2つ目は、アルコールを飲むことで心拍数が増加します。この状態のときに異性を見ることで、「恋をしているとき」のドキドキと勘違いしている、そんな可能性が考えられています。

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