福島原発事故、ヘリ、放水車は冷却に無力、最悪な事態に備えた対応を

米軍の無人飛行偵察機「グローバルホーク」が上空からの撮影を行うようだが、その写真の分析も早く待たれるところだ。しかし、わが国の民間企業には、海外への輸出が規制される「無人ヘリコプター」を商品化しているところがある。これは国防上の問題にもなったぐらいだ。そのような国防にかかわるようなことを、即座にこのような事態に活用する発想は、政権内部には一人もいなかったのだろうか。いうまでもないが、グローバルホークは飛行機であり、原子炉建屋の上空でホバリングもできないし、内部に入ることもできない。無人ヘリコプターは内部にすら入ることができる。冷静な思考と、さまざまな可能性を有機的に組み合わせる本当の意味での危機管理機能はわが国にはないように感じられる。

最悪の事態を想定した対処は行われているのか

元東芝社員で原子炉格納容器設計者である後藤政志氏は、「断言はできないが、格納容器は破損していると思う」という。設計段階ではあらゆる危険性を考えたうえで設計するが、「(地震に津波が重なったために)多重故障が発生したため、安全システムがすべて作動しないという最も恐れていることが起きた」と説明する。

では、十分に原子炉を冷却できないと、どのような事態が待っているか。最悪は、放射性物質の大量放出を止められないということだ。

後藤氏は、今後予想される危機を以下のように説明する。まず、原子炉の冷却ができないと炉心が溶融して原子炉の底に溶融物が落ちる。さらに冷却ができないと、原子炉圧力容器の底が抜ける。底まで落ちた溶融物はコンクリートと反応し、大量の水素ガスなどを出す。そして、この段階で格納容器が破損するので、外部に大量の放射性物質が放出される。

溶融物が発生した段階で冷却のために水を投入することも難しい。というのも、溶融物に水を注ぐと一気に水蒸気爆発が起きるためだ。水蒸気爆発は、火山から流れ出たマグマが海面などと触れあうとすさまじい蒸気を発生させることを思い浮かべるといい。原子炉の場合、燃料被覆管に使われているジルカロイ合金が摂氏1400度で溶融を始め、その溶融体が冷却水に落ちると水蒸気爆発が起こりうる。

後藤氏はさらに先の危機シナリオを提示する。

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