福島原発事故、ヘリ、放水車は冷却に無力、最悪な事態に備えた対応を

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原子力安全・保安院によれば、福島第一原発1号機は「原子炉圧力容器と格納容器の健全性は保たれている」、3号機は「格納容器の破損の恐れ」、2号機は「圧力抑制室が損傷した恐れ」としている。

ただ、「(圧力容器の)下部に損傷はないかもしれないが、上部の損傷の有無はどう確認したのか」と立命館グローバル・イノベーション研究機構の亀井敬史研究員は疑問を呈する。2号機を含め、格納容器の下は目視できるが上部は圧力容器も含めてコンクリートで囲まれて確認できない。唯一可能なのは、圧力容器の上部にある燃料交換用のコンクリートの蓋を開けて目視観察した場合だけだ。もし圧力容器と格納容器が健全であれば、12日時点での放射能は弱かったはずだ。まず第一に確認すべきはこの点と思うが、実際に確認していないのに憶測で確認したと判断したとすれば問題だ。1、3号機は水素爆発を起こし、格納容器を取り囲む建屋上部が吹き飛ばされたという。その際、格納容器は損傷していないのかとの不安が湧く。ただし、原子力安全・保安院は、水素爆発を「推定」としている。

それでも1、3号機は格納容器の下部に損傷がなければ、注水すればそれなりに水は溜まる。だが、漏洩していたり蒸発しているため、注水は続けなければならない。上部がもし損傷していれば、効果は減少する。そもそも、注水した水がどこかから蒸気として外部に出て行かなければ、注水を続ける必要もない。また、2号機は底が抜けているため、溜まるまで継続して多くの水を注がなければならないのが現状だろう。水を送り込むためのポンプ車の規模などもわからず、この作業がどこまで続くのかについても情報が出てこない。

2号機の使用済み燃料プールを囲っているのはコンクリート。ここにはコンクリートだけでは必ず漏れるので、プールの内側に「ライナー」と呼ばれる薄い金属板が貼られている。このライナーが破れていると、結果的にプールからも燃料が漏れてくる。だが、ここの現状も確認されていない。

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